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パワー半導体で統合協議…ローム・東芝・三菱電機、一丸となれるのか

パワー半導体で統合協議…ローム・東芝・三菱電機、一丸となれるのか

説明するロームの東社長

ローム東芝三菱電機パワー半導体事業における事業・経営統合に向けた協議を始める。統合すればパワー半導体における世界シェア2位連合が発足する。日本メーカーが規模で欧米に劣後し、中国から猛追される中、日本メーカーの合従連衡がようやく動き出した。一方、ロームはデンソーから買収提案を受けている。今回の基本合意がデンソーの買収提案に与える影響にも注視が必要だ。(京都・友広志保)

「持続的に成長するためには個社が小さい単位でやるのではなく、日本で同じ志を持つ会社が集まる必要がある」。ロームの東克己社長は27日報道陣の取材に応じ、東芝デバイス&ストレージ(D&S)、三菱電機との3社でパワー半導体事業の統合協議を開始することで基本合意した背景をこう説明した。

ロームはこれまで、東芝D&Sと半導体事業の統合を目指してきた。パワー半導体においては東芝D&Sとの協議に三菱電機を加え、3社での統合を目指す。ロームは炭化ケイ素(SiC)、東芝D&Sはシリコン(Si)金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、三菱電機は絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)やモジュールに強い。3社が組むことで幅広いラインアップを取りそろえられることに加え、規模としても独インフィニオンに次ぐ世界2位に躍り出る。

パワー半導体は日本企業が競争力を維持する分野だが、複数社が乱立。“日本企業”として競争力の維持・向上を図るため、合従連衡の必要性が長く指摘されてきた。ロームの東社長はデンソーの買収提案を「黒船襲来」にたとえつつ、「小さいことを言っている場合ではない」と述べ、3社の協議を加速させるきっかけになったと認めた。

デンソーの買収提案については、社外取締役などで構成される特別委員会が独立した立場で引き続き検討を進める。ただロームからすれば、デンソーの傘下入りには一長一短がある。デンソーは国内最大の車載部品メーカーであるため、ロームの車載事業の安定運営が見込める。一方、デンソー以外の車載部品メーカーは、ロームの製品を使いづらくなる。また「当社が特に伸ばしていきたいAI(人工知能)データセンター(DC)」(東社長)など車載向け以外の事業縮小や、半導体メーカーとしての独立性が失われる可能性が懸念材料だ。

3社連合が上手くいくかは、事業運営の体制を各社が納得いく形に固められるかが焦点となる。SiCやSiMOSFET、モジュールなど、各事業は強みを持つメーカーが主導しても、全体の取りまとめ役がリーダーシップを発揮することが重要だ。統合事業体の出資比率などは今後詰めるが、東社長も「ただ集まるだけでなく、ガバナンスが効いた状態にできるかが協議の肝」と強調する。

ただ、業界からは「3社の企業文化がまったく異なる」と不安の声も聞かれる。日本のパワー半導体のプレゼンス向上に向け3社の壁を取り払い、一丸となれるかが問われる。

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パソコンやスマートフォン、自動車など現代社会のあらゆる電子機器に欠かせない「半導体」。安全保障上の戦略物資とされ、産業をめぐる国際競争は激しさを増す。その主たるプレイヤーである台湾積体電路製造(TSMC)やラピダス、キオクシアなどの動きや最先端の研究開発の動向を追う。

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日刊工業新聞 2026年03月30日

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