「いいですね」と言った瞬間、あなたは何かを裏切った
感覚を言葉に変える力について
こんにちは、ムラサメです。
「伝わる」をテーマに、発注の言葉(5/19)、ページの構造(5/22)と書いてきました👇️
今回はその根底にある問いを扱います。
そもそもなぜ、判断ができないのか?
あなたは「いいですね」と言ったが、本当は「なんか違う」と感じていた。
その瞬間、あなたは相手の自信を、自分の感覚より信じることにした。
「お任せします」の正体
デザイン案を見せられた瞬間、何かが引っかかった。
でも隣でデザイナーが
「この余白感がポイントで、視線の流れも計算して……」
と自信満々に説明し始めた。
あなたは手元の資料に目を落として、頷きながら「いいですね」と、言った。
その後、完成したページを見て「なんか違う」と感じた。でも何が違うのか、うまく言えなかった。
修正を頼もうとしたが、言葉が出てこなかった。
結局「全体的にもう少し……なんか、スッキリした感じに」と言った。
思い当たる場面が、1つくらいはあるのではないでしょうか?
これは、能力の問題ではありません。
フタの問題です。
長くこの仕事をしていて、あるパターンに気づきました。
実は「デザインのことはよくわからない」と言う人の多くは、日常的に判断はしているんです。
レストランのメニューを見て、読みやすいと感じる。
名刺をもらって、なんか信頼できそうと思う。
サイトを開いて、一瞬で「ここは違う」と感じる。
これは全部、デザインの判断。
でも打合せの場に来た瞬間、その感覚にフタをしてしまう。
「専門家の前で、感覚だけで話してはいけないな」
という空気が、自分の直感を黙らせる。
そして「お任せします」と言う。
正解に最も近い人間は、最初からあなたです
ここで1つ言わなければならないことがあります。
デザイナーも、正解を知りません。
これは批判ではなく、構造の話。
デザイナーはフォントを知っている。
余白の取り方を知っている。
視線誘導の技術を知っている。
でもデザイナーが知らないことが1つあります。
それは あなたの顧客が、何を見て「信頼できる」と感じるか?
あなたは知っています。
顧客と話してきた。
顧客の言葉を聞いてきた。
顧客の趣向は分かっている。
顧客が何に不安を感じ、何に安心するかを、肌感覚で持っている。
つまり「お任せします」とは、こういうこと。
顧客を誰よりも知っている人間が、顧客を全く知らない人間に、最終判断を渡している。
デザイナーと発注者は、「得意なことが違う2人」。
デザイナーには技術がある。
あなたには顧客情報がある。
この2つが合わさったとき、初めて「伝わるもの」ができる。
「お任せします」は、その半分を捨てること。
あなたの「なんか違う」は、素人の思い込みではありません。
顧客を知っている人間が、顧客目線で見たときの「正確なシグナル」です。
感覚は正確、言葉にする質問が必要なだけ
子供が「お腹が痛い」と言うとき、
医者は「どこが?ずっと痛い?それとも波がある?食べた後に悪くなる?」と聞きまよね?
子供の感覚は、最初から正確です。
ただ、言葉にする質問が必要なだけ。
あなたの「なんか違う」も、同じです。
感覚は正確。
言葉にする質問が、必要なだけです。
「目を細めてぼんやり見たとき、視線が自然に止まる場所が1つあるか?」
「ページを開いた瞬間の範囲に、自分に関係があると感じる言葉があるか?」
「読み終わった後、次に何をすればいいかが1つだけ明確に見えるか?」
これらの問いを持った瞬間、「なんか違う」は「優先順位の問題です」になります。
「なんかごちゃごちゃしてる」は「視線が迷子になっています」になり、
「なんか信用できない」は「最初のスクロール範囲で信頼の根拠が見えていません」と、なります。
感覚は変わっていません。
言葉が生まれただけ。
判断力とは、新しい知識を得ることではありません。
すでに持っている感覚に、言葉を与えることです。
その言葉を持った人間は、デザイナーに的確に伝えられます。
修正が減る。
完成したものが機能する。
「かっこよくしてください」ではなく、
「最初のスクロール範囲で、読者が自分に関係があると感じる言葉を置いてほしい」と言える。
最後に
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ここまでの3つの記事を読まれた方であれば薄々気付いているかもしれませんが、
感覚を言葉にする力は、デザイナーへの発注時にだけ使えるわけではありません。
👆️この警告色シリーズのヒントです。
あなたの感覚は、ずっと正しかった。
ただ、信じることを自分に許可していなかっただけ。
あなたが最後に「なんか違う」と感じて、その感覚を信じた場面はいつですか?
そして、その感覚に言葉を与えられましたか?
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