大ゴッホ展の大行列を尻目に、東京都美術館のアンドリュー・ワイエス展に行ってきました。
今回の展覧会のテーマは、「境界」です。
写真OKの作品をいくつか掲載したので、「境界」を感じ取ってもらえたらと思います。
ワイエスといえば光と影の対比が印象に残りますが、常に「死」を意識してきたことが作品を通して伝わってきます。
父親の事故死と、その5年後に自分自身も肺疾患から臨死体験をしたことで、ワイエスは「生と死」という命題と向き合い続けてきました。
とても退廃的なんだけれど、暗闇の中に光があり、寂しさの中に希望があり、滅びゆくものの中に美がある。
私はそんなイメージでした。
ワイエス視点の風景は、日本人の私から観ると「諸行無常」で、終わりを見つめながら「今この瞬間」を切り取っている感じがします。
人がいない留守模様を描く絵が多く、画面の外に人の気配を感じながら、誰もいない静かな空間をこっそり覗き見しているような感覚になります。
空間としては明るい絵もあるのに、どこか仄暗い。
ワイエスの絵には、いつも静謐さが横たわっています。
この静かで余白がある感じ、日本人が好きそうだなぁと思いました。
日本で人気があるわけですね。
ワイエスは、オルソン・ハウスとそこに住むクリスティーナとアルヴァロのオルソン姉弟の絵を、30年間に渡って描き続けました。
本展のメインビジュアルもクリスティーナですね。
ここにいるようでいないような、部屋の内と外という境界にいながら「生と死」の境界にいるような。
不思議な後味が残ります。
あまりにオルソンハウスの絵が多いので、だんだんとこの場所を知ってる気になってきます。
部屋の空気の流れ
外から聞こえる微かな物音
置いてあるものの手触り
今までこの場所が歩んできた歴史…
見たことのない風景なんだけど、じっと見ているうちに一瞬その場所に入り込んでしまったような、境界があいまいになる感覚になります。
イメージのことばかり書きましたが、質感の描写が非常にうまくて、特に木とか草とか、手触りが感じられそうな画力です。
『鷹の木』という作品の木が素敵で、見入ってしまいました。
山田五郎さんのYouTubeでワイエス回を見てから、本物をずっと観たかったので、今回実物を観られてとても満足です。
(著作権が有料のため、今は映像なしで音声だけがYouTubeで配信されています。)
美術館に行く度に思いますが、写真と本物ではやっぱり違うんですよね。
作品に対したときの空気感が、写真を通すと感じにくくなるのかもしれません。
今回は習作もたくさんあって、一つの絵を完成させるまでの過程も興味深かったです。
アンドリュー・ワイエス展は、東京都美術館で2026年7月5日まで開催中です。
この後は、愛知の豊田市美術館、大阪のあべのハルカス美術館と巡回が続きます。
分類不能の画家と言われるワイエスの独特の世界観に、ぜひ浸ってみてもらえたらと思います。
◎東京都美術館 アンドリュー・ワイエス展
〒110-0007 東京都台東区上野公園8−36






いいなー、ワイエス…と思ってたら大阪にも来るんですね!
その時は絶対観に行きます!
美術館で実物を観るのと、写真で観るのは全然違いますよね…🙂↕️
私もワイエス好きです!!