ヒメカエルガメという亀がいます。
南アメリカの熱帯雨林に暮らす、
小さな淡水ガメです。
派手ではない。
珍しい模様もない。
目立つ色もない。
甲羅は黒っぽい。
体も小さい。
どちらかというと地味です。
正直、
最初に見た時は、
そこまで印象に残りませんでした。
でも、調べていくとかなり面白い。
この亀は、
アマゾン川やオリノコ川流域の、
小さな川や沼地で暮らしています。
流れはゆるやか。
木々に覆われている。
落ち葉が積もっている。
泥がたまっている。
そんな場所です。
人間から見ると、
あまり綺麗には見えません。
透明な川じゃない。
南国のリゾートみたいな水でもない。
でも、
ヒメカエルガメにとっては、
そこが生きやすい場所なんです。
昼間は、
落ち葉の下に隠れる。
泥の中に身を沈める。
じっとしている。
夜になると動き出す。
魚を食べる。
昆虫を食べる。
甲殻類を食べる。
水草も食べる。
派手に狩りをするわけじゃない。
大きな縄張り争いもしない。
静かに待つ。
目立たない。
騒がない。
でも、ちゃんと生きている。
僕らは、綺麗な人生に憧れます。
失敗しない人生
遠回りしない人生
傷つかない人生
後悔しない人生
SNSを見ていると、なおさらそう思う。
みんな順調そう。
楽しそう。
成功していそう。
でも、
本当はそんなことないんですよね。
人間も、泥の中で生きています。
失敗する。
落ち込む。
嫉妬する。
後悔する。
情けなくなる。
綺麗な感情ばかりじゃない。
むしろ、
そういうドロドロしたものを抱えながら生きている。
昔の自分は、
そういう自分が嫌でした。
もっと立派になれ。
もっと強くなれ。
もっと綺麗な人間になれ。
そう思っていた。
でも、
最近は少し考え方が変わりました。
泥があるから、
見えるものもある。
失敗したから、
分かる痛みもある。
遠回りしたから、
気づける景色もある。
心理学では、
失敗や困難の経験を
「成長の材料」として捉え直すことが、
回復力につながると言われています。
つまり、
泥は無駄じゃない。
ヒメカエルガメも、
綺麗な砂浜ではなく、
落ち葉や泥が積もる場所で生きている。
それは、仕方なくではない。
そこが、この亀にとって生きやすい場所だからです。
完璧じゃなくていい。
遠回りしてもいい。
泥だらけでもいい。
大事なのは、そこで生きること。
ヒメカエルガメは、
今日もどこかの熱帯雨林で、
落ち葉の下に身を隠しています。
目立たず。
静かに。
でも、
確かに生きながら。
そして、
人間もまた、
それぞれの泥の中を生きているのかもしれません。
綺麗じゃないから価値がないのではない。
泥の中だからこそ、育つものもあるのだから。







