帰る場所がなくなった。ハナガメという亀
ハナガメという亀がいます。
派手な亀ではありません。
巨大でもない。
珍しい角があるわけでもない。
でも、よく見ると美しい。
顔から首にかけて、
細い黄色い線が何本も入っている。
どこか優しい顔をしている。
静かな水辺が似合う亀です。
ハナガメは、
台湾、中国南部、ベトナム北部に暮らしています。
平野の川
池
用水路
流れのゆるやかな水辺
そういう場所で生きています。
植物を食べる。
水草を食べる。
でも、
それだけではありません。
小魚
貝
甲殻類
水生昆虫
いろんなものを食べる。
どちらかというと植物が好きだけど、
環境に合わせて生きる。
静かだけれど、
案外たくましい亀です。
でも、
この亀は今、
かなり厳しい状況にあります。
野生では、
数を減らしています。
開発
環境破壊
食用利用
ペット取引
低地の水辺に暮らす生き物だからこそ、
人間の影響をまともに受けてしまう。
最近では、
絶滅危惧種の中でも、
かなり深刻なカテゴリーに入っています。
ここで、
少し考えさせられました。
ハナガメが失っているのは、
故郷なんだろうか。
もちろん、
故郷と言ってもいい。
でも、
生き物として考えるなら、
もっと正確な言葉があります。
生きられる条件です。
水がある
水草がある
隠れ場所がある
安心して餌を食べられる
安心して卵を産める
そういう条件がそろって、
ようやく生きていける。
人間も、
同じじゃないでしょうか。
うつで休職した頃。
職場はありました
机もありました
教室もありました
同僚もいました
でも、何か違った。
同じ場所なのに、
前みたいに座れなかった。
前みたいに笑えなかった。
前みたいに立てなかった。
当時の自分は、
「職場に戻れない自分」
を責めていました。
もっと強くなれ。
もっと頑張れ。
みんな働いている。
甘えるな。
そんな言葉を、
自分に向けていました。
でも、今は少し違う。
問題は、
自分の弱さだけではない。
自分が生きられる条件が、
崩れていたんだと思います。
安心感
余裕
睡眠
人とのつながり
心のエネルギー
そういうものが、
少しずつ減っていた。
ハナガメも、
ただ水があれば生きられるわけじゃない。
どんな川でもいいわけじゃない。
どんな池でもいいわけじゃない。
人間も同じです。
家があればいいわけじゃない。
仕事があればいいわけじゃない。
人がいればいいわけじゃない。
自分が息ができる条件があるか。
そこが大事なんだと思います。
もちろん、
これは人間の側の比喩です。
ハナガメが、
故郷を恋しがっているかは分かりません。
寂しいと思っているかも分からない。
でも、
少なくとも分かることがあります。
生きられる条件を失えば、
生き物は苦しくなる。
そして、
人間もまた、
安心できる条件を失えば苦しくなる。
最近、少し思うんです。
「どこでもやっていける人」
になれなくてもいいんじゃないかと。
自分に合う場所を探す。
安心できる人を探す。
少し呼吸しやすい環境を探す。
それは、弱さじゃない。
生きるための工夫です。
実際、自分も助けられました。
朝の散歩
図書館
note
同じように苦しんだ人との会話。
そういう場所があったから、
少しずつ戻ってこられた。
ハナガメは、
今日もどこかの水辺で生きている。
水草の間を泳ぐ。
流木のそばで休む。
静かに日光浴をする。
派手ではない。
目立たない。
でも、
自分が生きられる条件を探しながら生きている。
人間も、きっと同じです。
広い世界の中で、
自分が少し居心地のいい場所を探している。
そして、
その場所を見つけた時、
ようやく少しだけ、
自分らしく生きられるのかもしれません。









かめ先生
誰でも生きてるだけで、そこに居てくれるだけで価値がある。
それをしっかり、伝わるように伝えていきたいなと思いました。
かめ先生の話は、海の中のような、落ち着いた、癒される場所で漂っているような、そんな気持ちになれます。
ありがとうございます🥹