『SILENT HILL: Townfall』が描くスコットランドの村はシェンムー臭と恐怖満載!? 実機プレイを見た感想
9月はこれで決まり
2026年9月は大作ゲームの激戦区だが、その中から私は『SILENT HILL: Townfall』を選ぼうと思う。Summer Game Fest 2026で約15分のゲームプレイ映像を見て、それだけ説得されたのだ。
その最も大きな理由は、本作がスコットランド人による、スコットランド愛あふれる、スコットランドを舞台にしたゲームであることだ。
一応言っておくと、私は特にスコットランドに深い関心を抱いているとかではない。しかし、自分の国を愛し、それをとことんゲームにリアルに反映した試みに心を打たれた。
開発チームのScreen Burn Interactiveは、ストーリー重視のゲームを作ってきた26人程度の小さなスタジオだ。ディレクターを務めるジョン・マッケラン氏によると、『SILENT HILL: Townfall』は彼らの最も野心的なタイトルになる。

舞台は1996年のスコットランドの孤島にある小さな村「セントアメリア」で、主人公サイモンは村を自由に歩き回れる。オープンワールドというには少し狭そうだが、一人称視点ということもあってウォーキングシミュレーターの箱庭に近い印象だ。
そして、この箱庭の完成度がとにかく高い。小さなチームで作ったとは思えないほど写実的な村が広がっているのだ。ホラーゲームなので「SILENT HILL」シリーズらしく霧に包まれているし、人もいない。それでもこの村は限りなく生きている。スケールこそ違えど、『Ghostwire: Tokyo』の生活感溢れる渋谷の描写を連想する凄みだ。

石畳の敷かれた小道、こぢんまりとした佇まいの商店、文字がすべて読めてしまう掲示板の張り紙。家や看板はすべてユニークのようで、あたかも実在する場所にいるかのよう。『SILENT HILL f』が描いた日本の田舎町「戎ヶ丘」といい、近年の「SILENT HILL」シリーズ作品はとにかく町を描くことに長けている。
開発チームはスコットランド中を取材して回り、無数の風景を撮影して、それらをスキャンしてゲームに落とし込んだという。道理で、村を歩き回る映像を見ているだけで、本当にスコットランドの小さな港町まで観光にやってきた感じがする。「戎ヶ丘」で思ったように、「ホラーじゃない、普通のアドベンチャーゲームでも探索してみたい」という感想が脳裏をよぎった。

『SILENT HILL: Townfall』はホラーゲームとしても興味深いアイディアをいくつか導入している。まず、モニター付きラジオ「CRTV」が探索時の主要なメカニクスになりそうだ。プレイヤーは多くの場面で、この多目的デバイスに頼ることになるだろう。CRTVの周波数を変えることで画面に映し出される映像や音が変化し、進行方向や謎解きの手がかりになる。
今回見せてもらった映像では、ある女性がモニター越しにサイモンを自分の家に誘導しようとしており、何度も同じセリフを繰り返していた。CRTVはプレイヤーの手助けになりながら、物語や世界観とも深く関わっていそうだ。

クリーチャーから隠れているときにCRTVを使えば、死角にいる敵の行動が見えるという便利な機能もある。
ステルスメカニクスとして私が特に感銘を受けたのは、壁などの遮蔽物に隠れながらその先を「覗く」というシステムだ。これ自体はステルスゲームに古くからあるが、本作ではトリガーを押すことで覗く方向や角度を調整でき、「ぎりぎり見つからないように隠れながら敵を覗く」というスリリングな駆け引きが生まれている。
「覗く」は探索時にも使えるもので、引き出しやクローゼットを開けてからどこを覗き込むのか調整できる。……もう、それほぼ「シェンムー」じゃん!

「CRTV」と「覗く」はどちらも戦闘と探索の両方に意味があり、ゲームデザインとして非常に理にかなっている印象を受けた。
CRTVを頼りにある民家にたどり着いて、中に入ると、村の外と同様の作り込みに圧倒された。洗濯物カゴから少しはみ出ているセーター、飲みかけのコーヒーカップ、床に落ちている未開封の封筒。圧倒的な密度で、1996年頃を生きた人間なら誰しも自分の記憶を連想する生活感が描写されていた。

1996年のスコットランドをできるだけ写実的に作り込む試みは、謎解きにまで反映されている。懐中電灯を発見して、電池を探して装着するあたりまでは「アドベンチャーゲームあるある」だが、その懐中電灯で真っ暗な収納室を照らすと、スコットランド式電気メーターがあった。
マッケラン氏によると、80・90年代のスコットランドの電気メーターは前払い式のものが多く、郵便局やコンビニのような商店でカードを購入する必要があった。ゲームでもこのことを説明する資料を入手できるので、プレイヤーは自ずと民家を出て、郵便局やコンビニを探しに行く。謎解きを通して、住まなければまずは知らないようなローカルな生活を疑似体験できるわけだ。これも「シェンムー臭」がすごく、懐中電灯を見つけて、コンビニまでそのための電池を買いに行った記憶が蘇った。日常的な描写にここまで力を入れるゲームも珍しい。
だが、ホラーファンは恐れるなかれ。「SILENT HILL」らしく空間が歪んだり、主人公の精神状態を抽象的に描いた非現実的なパズルも多く存在するという。

もちろん戦闘もある。遠距離武器と近接武器の両方が存在し、どのように戦うかはプレイヤーに委ねられている。見せてもらったゲームプレイでは主人公が角材といういかにも「SILENT HILL」らしい武器を入手し、不気味なクリーチャーと戦っていた。防御は過去作以上に重要らしく、サイモンは何発か攻撃を喰らっただけで地面に倒れた。しかし、腕についている輸液入りバッグの不思議な力で、倒れても復活できるらしい。
残念ながら戦闘はほんの数秒しか見せてもらえていないので、まだ謎に包まれている。マッケラン氏によるとリソースはかなり限られているのでその管理が重要となり、戦わずに逃げ隠れながら進むことも選択肢のひとつだ。
『SILENT HILL: Townfall』は2026年9月24日、PS5/PC向けに発売予定だ。
いや、しかし、こんなにスコットランドへ行きたいと思ったのは初めてだ。あくまでゲームの話だが。
