突然に公開された『シェンムーIV』のトレーラーはフェイクだった
大ファンでなければ作り得ないフェイク
12月5日、『シェンムーIV』のトレーラーのリークと訴える映像が突然にネット上に公開された。4分以上の長尺のトレーラーで、『シェンムーIII』と同じビジュアルスタイルによるシネマティックな映像だ。スマートフォン端末と思われるカメラでトレーラーの映ったモニターが撮影されており、最後には2026年発売と予告されていた。一部AIの使用を示唆する痕跡が見られるものの、開発元であるYS NETでなければ作り得ないのではと思ってしまうほど、「シェンムー」に対して並みならぬ知識と理解が窺い知れる内容となっている。しかし、筆者がYS NETに確認したところ、同社はこのトレーラーにまったく関与していないと主張する。映像にはYS NETのロゴが映っているので、トレーラーがフェイクだったということになる。
同社はその後、公式Xにおいても投稿し、この映像が商標権侵害および不正競争行為であり、法的措置を含む対応の準備を進めているとしている。
現段階で判明している限り、このトレーラーが最初にアップロードされたのはShenmue Dojoというファンコミュニティーサイトの掲示板だ。Nomura_79というユーザーがZipファイルとしてアップロードし、The Game Awards 2025で公開予定のトレーラーとして5ちゃんねるで発見し、削除される前にダウンロードしたと主張していた。5ちゃんねるにこのような投稿の形跡は見つかっていない。
筆者は「シェンムー」シリーズに人生を捧げたと言えてしまうほどの大ファンであり、ほとんどの映像ならフェイクかどうかすぐに判断できる自信がある。ただ、この映像に限って言えば最後まで判断し兼ねた。確かに映像は一部ビジュアルスタイルやキャラクターデザインに統一性がないし、同じ服でもボタンの数がカットによって違う、同じ場面なのに空模様がころころ変わるといったAIならではミスを確認できる。一方で、トレーラーに登場するロケーション、キャラクター、イベントなどは実際に「シェンムー」の今後の物語として予定されていることが多く含まれており、一部はほとんどのファンすら知らないような設定だ。端的に言えば、インサイダーや大ファンでなければ作り得ない映像に思えたのだ。
確認できるロケーションは列車、蘇州、白沙、懸空寺、張家界、モンゴルなどを彷彿とさせる場所だ。あまりにも膨大で、1本のゲームで作り切れるとは思えないほどだ。『シェンムーIII』のロケーションが2つのみだったことを思えば、現実的に作り得る範囲ではなく、あくまでファンの夢を体現しているように思えた。自転車に乗れたり、レンを操作するパートがあったりなど、当初は予定されていたがキャンセルされた要素が含まれている点からしても、ファンの願望を形にしたようなトレーラーだ。この映像が欧米の時間帯で12月4日に公開されたこともこの考えを裏付ける。というのも、「シェンムー」のファンコミュニティーでは毎月4日に『シェンムーIV』への期待をSNSなどで投稿することになっているからだ。
しかし、それにしても、ここまで「シェンムー」に対する知識や理解が窺い知れるフェイクのトレーラーが作れること自体が驚きだ。いったい誰が何のために作ったのだろう、と考えてしまうほどだ。
現在、YS NETで『シェンムーIV』が実際に開発されているかどうかは不明だが、「シェンムー」シリーズの生みの親である鈴木裕は以前から「できれば作りたい」と語っている。東京ゲームショウ2023ではIGN JAPANの配信にて「チャンスがあれば……いい出会いがあれば」と語っていたので、少なくともその時点では開発されていなかったはずだ。『シェンムーIII』の拡張版『Shenmue III Enhanced』は正式に発表されているので、まずはそちらを楽しみにしたい。
