「どうぶつの森」に似すぎ?それでも夢中になってしまう『原神』開発元のスローライフゲーム『プチプラネット』プレイ感想
ローンはない……でも前払いです
2026年はスローライフゲーム激戦区だ。本来、激しいアクションゲームに疲れたユーザーがたどり着くこのジャンルだが、『あつまれ どうぶつの森』のアップデート、『スターサンド・アイランド』、『ぽこ あ ポケモン』、『にほんの田舎暮らし』、『トモダチコレクション わくわく生活』を立て続けにプレイしてきた筆者は、一転してむしろこのジャンルに疲れを覚え始めている。そんななかでも『プチプラネット』に夢中になれたのは、このゲームのクオリティの高さを保証している。
スローライフゲームが増えている昨今、様々な系統が誕生し始めている。「どうぶつの森」のように特定のキャラクターたちと仲良く暮らしていくタイプ、「牧場物語」や『Stardew Valley』に代表される牧場シミュレーション、『ぽこ あ ポケモン』のようにサンドボックス型の作品。「ザ・シムズ」や「トモダチコレクション」のように人間の暮らしをシミュレートした作品なのかもしれないし、「ぼくのなつやすみ」フォロワーならストーリー重視だろう。
このジャンルが様々な方向へと進化し続けるなか、『原神』や『ゼンレスゾーンゼロ』で知られるHoYoverseが送る『プチプラネット』は限りなく「どうぶつの森」の系譜にある作品と言える。家具を外に配置でき、クラフトも加わった『あつまれ どうぶつの森』から特に影響を受けていることが明白だ。
「無人の星で暮らす」というコンセプトの『プチプラネット』はシンプルなキャラクタークリエイトから始まり、自キャラが完成すると「ルーミーコーポレーション」という企業による「無人の星で暮らすプラン」に参加する。モーバという犬に案内されて、好きな生態系の星での暮らしが始まる。モーバとその仲間はプレイヤーと一緒にこの星で一緒に暮らすようになり、プレイヤーの案内役となる。モーバは、まさに「どうぶつの森」におけるたぬきちのような存在だ。プレイヤーが最初に暮らすことになる「仮住まいキット」を渡してもらうとき、「前に住んでた星ではローンを組まされたのかい……?」というオマージュがあるほどだ。「ここにそういうサービスはないから安心して」と言ってくれるのはいいが、仮住まいからちゃんとした家にアップグレードするときはちゃっかりお金を請求された。ローンがないのは確かだが、前払いになっているだけではないか……。これは「だなもDNA」が確実に受け継がれているぞ!

序盤のゲームの流れ自体も、かなり「どうぶつの森」っぽい。木を揺らせば果物が落ちるし(星ごとに特産フルーツは違う)、狭い仮住まいに家具を置いたり、主人公の衣装を変えてみたりできる。網で虫を捕まえ、釣り竿で魚を釣り、売ったり料理に使ったりできるのはもちろん、「エコハウス」に寄贈するというシステムも博物館と同じ流れだ。プレイヤーが虫捕りや魚釣りに成功すると近くの動物たちが拍手したり誉めたりするし、初めてゲットした魚や虫に楽し気な解説文が添えられるところまで似ている。

だが、『あつまれ どうぶつの森』を下敷きにしながらも、『プチプラネット』にはユニークに感じられる点も少なくない。例えば、虫捕りと魚釣りに加えて、浅瀬の貝類をトングで捕まえることもできる。ヤドカリが岩の下に隠れて、飛び出す瞬間を見計らってトングを構えるような遊びが楽しい。
そもそも、『プチプラネット』における星の成長過程がユニークだ。星の拠点となる広場にはルカという名の樹があり(これ自体は「どうぶつの森」シリーズのシンボルツリーに近い)、一定の活動をすると水やりができるようになる。水やりしてルカの樹が成長すると、星全体に変化が現れる。最初は周囲に花が咲くといった小さな変化から始まるが、やがて川ができ、海ができる。ルカの樹が成長するたびに星は大きく変化し、新たな地形もできるわけだ。ルカの樹を成長させることがプレイヤーのメイン目的として機能し、そのために様々な課題をこなしていく。

ゲームを進めると少しずつ新しい動物たちが星にやってくる過程も「どうぶつの森」から影響を受けながら、その仕組みを進化させている。というのも、動物たちの登場はイベントのように描かれており、星に住んでもらうまで彼らのストーリーを攻略する必要があるからだ。虫を捕まえて渡すといったシンプルな内容であるとはいえ、こうしたストーリーミッションは動物たちの自己紹介のような役割を担っている。
動物たちが星で暮らすようになってからも様々なお願いごとをされるようになり、彼らとやりとりをしていく中で親密度を示すパラメータが徐々に上昇していく。言ってみれば、「どうぶつの森」の動物たちに恋愛シミュレーションのようなシステムが加わっていると言えそうだ。動物たちはそれぞれ得意分野や、好きなものと苦手なものがあり、バックストーリーもある。彼らとの親密度を上げていくことでどんどん新しい情報を入手でき、そのたびに報酬もある。そういう意味では「どうぶつの森」よりも交流する目的がはっきりしており、「動物たちと共に暮らす」という要素を進化させようとしている。一歩間違えれば「共に暮らす」から「攻略する」というゲーム的な遊び方に変わってしまいそうだが、それはもっとプレイしてからじっくりと検証したい。

極端な恥ずかしがり屋や元気溌剌な虫捕り少年など、記号化されていながらキャラもきちんと立っている。そして、このタイプのゲームでは珍しくキャラクターボイスがある。最初はフルボイスなのかと思ってしまうほど、本当にゲームの大半がボイスに対応しているのだ。
ボイスがあることからもわかるように、『プチプラネット』はとにかく演出に力が入っている。個人的に感動したのはアニメーションの細かさだ。例えば、椅子から立ち上がった後、椅子を手でそっと元の位置に戻すアニメーションがある。マニアックなのかもしれないが、これはほかのゲームであまり見たことがない。スコップで穴を掘るときも、刃の上部に足をかけて踏み込む動作が入るなど、細かい描写によって星での暮らしに命が吹きこまれている。

ゲームを進行する過程で徐々に増えていくジェスチャーも同様に力が入っており、おかげでフォトモードが捗る。砂浜で寝転がっていると、浅瀬で走り回るキャラクターが目に入り、『プチプラネット』の生き生きとした世界に感動した。

『プチプラネット』は現実と同じ時間で動き、日を跨ぐとショップの品揃いが変わるし、建設中だった家や施設が完成する。今となっては多くのゲームで採用されているシステムだが、自分の星を毎日訪れたくなる仕組むとしてはうまく機能している。一方で、「どうぶつの森」ほど時間による制限は多くなく、メインストーリーの攻略や動物たちとの親密度を上げる遊びはどんどん進められる。『ぽこ あ ポケモン』に似た形で、あくまで部分的に「どうぶつの森」の時間の仕組みを借りていると言えるかもしれない。
とはいえ、『プチプラネット』は「どうぶつの森」に「似すぎ」と言われかねないほど共通した要素が多いことは否めない。小さな行いが特別な通貨で報われる「ルミーの足跡」は「たぬきマイレージ」を彷彿とさせるし、「クリエイトカード」を読んでから新しいアイテムをクラフトできるようになるシステムは「DIYレシピ」そのものに近い。

それでも本作が魅力的に感じるのは――「星で暮らす」という独自性によるところもあるが――単にそのクオリティの高さ故という部分も多い。クラフトできる家具はどれも見た目が魅力的で、それだけで「自分の家や星の外を飾りたい」という意欲に拍車がかかる。

可愛いらしいビジュアルはスローライフゲームにぴったりで、これまでのHoYoverseのゲームとは一線を画すアートスタイルだが、同社の得意としているトゥーンレンダリング技術をしっかりと反映している。上を見れば星が無数に広がり、可愛いと同時に神秘的な雰囲気も魅力的だ。
中国産のゲームらしく、東洋的な家具が多いのもうれしく、星の案内役モーバがことあるごとにお茶を淹れたがるのもいい。中国の茶芸をモチーフにしたシーンもあり、開発チームの文化的背景をしっかりと味わえる。

一部のユーザーからは「『どうぶつの森』に近すぎるのでは?」という感想がありそうで、その主張も理解できないわけではない。しかし、『ぽこ あ ポケモン』が「どうぶつの森」の様々な要素を借りながら新しい体験を生み出したことが記憶に新しい。HoYoverseの『原神』もリリース前は『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』との類似性が批判されていたが、リリース後は独自性の光る体験であることがすぐに判明した。『プチプラネット』もまた、「どうぶつの森」から影響を受けながら独自の体験として愛される可能性を十分に秘めているはずだ。特にほかのユーザーと繋がるオンライン要素は「どうぶつの森」よりもはるかに膨大だが、筆者はまだこれを十分に試せていない。『プチプラネット』は本日より一般ユーザーに向けた「星旅テスト」が開始するので、様々な感想に期待したい。
