Need for Speed Heat - レビュー
ヒートアップしてきた
2017年に発売された『Need for Speed Payback』のガッカリ具合は忘れられない。そのため、『Need for Speed Heat』がこのシリーズを持ち直すゲームになれるか私は半信半疑だった。だが、このオープンワールドのレーシングゲームにはそのためのエネルギーが詰まっている。『Heat』は明確にシリーズの原点へと回帰し、シリーズの中でも特に人気の高かった作品から要素を取り込むことによって、成功した作品となった。この成功までには何回もの挑戦が必要だったが、「Need for Speed」のルーツに忠実なレーシングゲームを、開発会社のGhost Gamesはとうとう完成させることができたのだ。『Heat』は決して革新的なゲームではないが、高速の走りが楽しめる作品であり、いまひとつだった『Need for Speed Payback』に比べて、大きく改善されている。
『Need for Speed Heat』は非常に好評だった『Need for Speed Underground』や2005年版の『Need for Speed Most Wanted』からの要素を組み合わせており、最近の作品からの改善点も含まれている。それにより、車の動きを止めてしまうような障害物が減らされた世界で、奥深い車両のカスタマイズ要素と警察との激しいチェイスが楽しめるゲームとなった。
パームシティは『Need for Speed Heat』の遊び場となる場所だ。マイアミによく似た、ネオンの光で満たされているこのマップは、クラシックな「Need for Speed」のテーマと合致している。この街自体が大きな見どころとなり、そのほかにもクールなスポットがいくつか存在する。ただ、街の細部に注目すると活気がないように見えてしまうし、周りにある郊外の町はすこし印象が薄い。『ザ クルー2』のマップのような大規模なものと比べれば、当然このゲームのマップは小さいものだ。しかし、『Payback』と比べると非常に密度が高く、より楽しいドライビングを行える環境になっている。
『Heat』の興味深い仕掛けとしては、2つのそれぞれ違うレース体験が可能だということだ。そして、その切替えはプレイヤーが手動で行う。昼間のパームシティでは認可されたストリートレーシングが行われており、決められたコースを賞金のために走る。だが夜のレーシングは違法でアンダーグラウンドなものであり、警察車両から逃げることでREP(名声)ポイントを獲得していく。そして『Heat』のストーリーを進めるには、昼と夜の両方のレースをこなす必要がある。ゲームの物語は前作と同じように映画「ワイルド・スピード」シリーズに似せられているが、稚拙な物語だった『Payback』と比べると物語は前面に押し出されなくなっている。ストーリーの量は大きくなく、『Heat』でのストーリーイベントは通常のレーシングイベントからの気分転換程度の位置づけとなっている。なお、『Heat』はオンラインでプレイできるが(ほかのプレイヤーがイベントに参加する)、完全にオフラインでプレイすることも可能だ。なお、このモード切替えはメインメニューから行う必要がある。「Forza Horizon」シリーズのシームレスなオンライン/オフライン切替えと比べると、『Heat』のこのやり方はあまり洗練されているとは言えない。
これまでのオープンワールドのレーシングゲームでは、私が指示を出さなくとも昼夜が自動的に移り変わっていた。そのため、はじめは『Heat』の昼夜切り替えシステムをどう評価すればいいのか判断に迷っていた。だがプレイした後は、自分が必要なものを入手するのに集中できるこのシステムを気に入ってきた。もし車両や車のパーツを買うためのお金が必要なら、昼にレースをする。『Heat』の風景は日中の間はすこし単調に見えるが、レース自体は良いものだ。ガードレールがちゃんと破壊可能なオブジェクトとして存在しているのも私が気に入っている点だ。絶対壊れない障害物によってピンボールのように弾き飛ばされてしまうことはかなり少なくなった。一方、もし新たなミッションやアップグレードをアンロックするためにREPポイントが必要なら、夜にレースをする。夜間のパームシティではゲーム世界がさらに美しくなり、雨が降っている間はなおさらだ。レースもより白熱したものになり、一般車両やより攻撃的になった警察車両をかわす必要がでてくる。
『Heat』での警察とのチェイスは、『Payback』とは違いあらかじめ決められたタイムアタックのルート以外でも行われる。プレイヤーはどの方向に逃げるかを、自由に選ぶことができる。チェイスの難易度はかなり上がっており、一番性能が高いアップグレードを手に入れるまでは簡単にいかないだろう。『Payback』では『バーンアウト3 テイクダウン』のように、横から体当たりすることで警察車両をクラッシュさせることができた。しかし、『Heat』ではプレイヤーの車にはダメージメーターが存在するために、この手段で警察車両と戦い続けることは難しくなった。ガソリンスタンドでの即時修理は一晩に3回まで可能なので、少しの間やり合うことはできる。だが、あまりにもダメージを受ければプレイヤーの車は壊れ、逮捕されてしまう。
チェイスは確実に警察車両のほうが有利となっているが、私はそのこと自体は悪いと思っていない。なぜなら人間ドライバーを出し抜けるくらいAIドライバーを強くするというのは、何らかのアシストなしでは困難なことだからだ。しかし、警察車両がプレイヤーの車のすぐ近くに突如出現する、非現実的なスピードブーストを得るといった明らかな不正行為を見るのは嫌になってくる。それに、時間切れになると強制的に逮捕になる逮捕タイマーは本当にひどい。車の耐久力に限りが存在し、それがゼロになれば負けとなるのだから、この逮捕タイマーという敗北条件も同時に存在する意味を感じられない。私が自分の車をクラッシュさせずに警察車両から逃走することに成功したのなら、それを邪魔しないでほしいのだ。REPポイントを稼いで貯めていくという行為をスリルがあるものにしたいのはわかる。だが、私の車両の前や後ろに警察がいないのにもかかわらず、この道理が通らないタイマーによって逮捕され、貯めたすべてのREPポイントを失ってしまうのはバカげている。
このゲームで選択できる車種は豊富にあるが、『Payback』をやりこんだプレイヤーなら、がっかりしてしまうかもしれない。なぜなら、ほとんどの車種は前作から引き継がれたものだからだ。前作では欠席だったフェラーリは再び収録され、さまざまな車種が選べるが、トヨタ製の車は引き続き存在しない。『Payback』での収録車種に対しての私の不満は、このゲームにおいても変わらない。具体的に説明しよう。このゲームでは非常に多くの現代のスーパーカーを運転でき、これらの車種は「Need for Speed」シリーズのDNAとも言えるものだ。しかし、90年代の代表的な車はなぜか少ししか存在していない。この頃はJDM(日本仕様)チューンドカーの黄金時代であり、これらの車のために作られたような『Heat』でその一部しか運転できないのは残念である。なお、ゲームの舞台と同じように、車両は雨が降っているときに最も美しく見える。だが、サイドパネルを滴り落ちる雨粒といったこだわった表現があるのにもかかわらず、フロントガラスのワイパーが止まったまま動かないのが悔やまれる。
『Heat』でのハンドリングは調整され、コーナーを曲がっている時にアクセルから足を離し、また踏むことでドリフトを開始するように変更された。しかし、私はこのやり方が好きではない。アクセルをほんの少し踏むという動作を行っただけで、するつもりのないドリフトが開始されてしまうからだ。幸いなことに、『Heat』には「ブレーキを行いドリフト実行」という動作に戻す設定がある。この設定では、ドライバーはアクセルを強く踏み続け、そしてブレーキを踏むことで車体を横に倒せる。こちらのほうが私にとってはわかりやすい。クラッチを素早く切ってエンジンの回転数を上げるのと同じように。
ゲームの最初から使える車のスピードは遅く、『Heat』のドライビングの仕組みをプレイヤーに理解させるには不十分 だろう。ゲームを進めて車のスピードが速くなるのに比例し、私はドライビングをより楽しめるようになった。『Payback』では、一部のマシンクラスは特定の車種しか対応していないという制限があったが、『Heat』ではそれがなくなり、私が買った車両はどれもグリップ、ドリフト、もしくはその中間といったような形で何度でもチューンすることができた。ドリフトは『Payback』よりも若干遅く感じるが、プレイヤーは車の角度をより調整できるようになった。そのおかげで、ドリフトイベントは非常に楽しく感じた。
同じように、『Heat』のアップグレードシステムは、『Payback』から大幅に改善された。車の性能に直結するのにもかかわらずスロットマシンで入手しないといけなかったスピードカードは廃止され、装飾アイテムを入手するためにリングをくぐる必要もなくなった(ごく一部の特殊な報酬は除く)。これは本当に良いことだ。パーツが欲しいなら、ただ稼いだお金で買えばいい。最初からこうするべきだった。気になる点としては、ドラッグモードがないのにドラッグタイヤが存在することくらいだ。
大きな追加要素としては、エンジン交換がある。以前にパフォーマンスの限界に達してしまった車のエンジンパワーを上げることができる、良いものだ。そしてさらに、排気システムのチューニングもある。これはこのゲームが誇るすばらしい排気音を、微調整することができるのだ。さりげない要素ではあるが、この要素を提案したGhost Gamesの人間には1週間余分に年末休暇を与えてあげるべきだ。これはまさにクルマ好きが大喜びする要素であり、私にもよくわかる。
車の外装エディターは相変わらず素晴らしいものである。車高のチューンも存在し、この機能は映画『ラブ・バッグ』に登場する命を持った車ハービーが死にかけになったのを再現したい人にはうってつけだ。彼がクルーズ船から突き落とされ、川の底から引き揚げられた時のあの状態だ。プレイヤーキャラクターをカスタマイズすることもでき、もし奇妙な男のヘソを拝みたいのなら、奇妙なヘソ出しの衣服を着せることでその願いを叶えることもできる。なお、ドライバーとして選択できるキャラクターは10人以上も存在する。
総評
While Need for Speed Heat feels a little more like a mosaic of existing concepts rather than something especially trendsetting, Ghost has certainly scraped these ideas from some of the most-loved games in the now 25-year-old series. Heat doesn’t always sizzle but it’s definitely much hotter than I’d expected. This is easily the most impressive Need for Speed game in many years.
『Need for Speed Heat』レビュー