ソニー・ピクチャーズの映画部門CEOが、映画館での本編上映前の長大な広告を「依存」として強く非難
「利用者が予告編さえ見ていない」と指摘
ソニー・ピクチャーズの映画部門CEOであるトム・ロスマンが、「広告への依存をやめろ」という旨の発言をし、映画館における長時間のCM上映を強く非難した。
Varietyが報じたこの発言は、ラスベガスで開催中の映画イベント「CinemaCon」におけるもの。ロスマンは薬物依存を想起させる「crack」という強い言葉を使って、長大化している広告への警鐘を鳴らしている。CinemaConという興行主を対象(のひとつ)とするイベントを発言の場に選んだことからも、かなり強い思いがあることがうかがえる。
問題視されているのは、本編上映前に25~30分ほどの広告と予告編が流れるプレショウの存在だ。これによって上映開始時間からかなりの間があって本編が流れる状態になってしまうため、映画体験を阻害するとしてスタジオ側からの反発を招いてきた側面がある。

2025年6月には米シネコン最大手AMCが本編上映前にスポットCMを流すために、National CineMediaと提携したことがブルームバーグによって報道された。AMCは、本編の上映開始前に25~30分程度のプレショウがあると明示することで利用者の負担軽減を図ったが、逆に批難の的となってしまう。このような表示自体が「予告編を含むプレショウは見なくてもいい」という判断につながってしまうと、スタジオ側が受け取ってしまったためだ(当時のDeadlineの報道)。
CinemaConにおけるロスマンの発言は、映画館におけるマーケティングの機能不全を指摘する。「延々と続く広告は排除し、長すぎるプレショウはしっかりと削ってほしい」と語ったうえ、「映画館に足を運ぶ人々が(広告どころか)予告編すら見ておらず、誘引施策が無駄になってしまっている」と主張しているのだ。
AMCに限らず、プレショウの存在は映画館の財政健全化を目的としたものだが、その肥大化が映画体験そのものとの緊張関係を生み出している。ロスマンの発言は、映画館とスタジオの間に横たわる構造的な対立をあらためて浮き彫りにしたと言えるだろう。
なお、『ジョーカー』や『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』のトッド・フィリップス監督も、劇場での広告展開を表だって批難したことがある。AMCのプレショウ明示が始まるよりも前の発言である点には留意が必要だが、「チケット代を払っているのだから、上映前に広告を流すのはやめてほしい」という旨を口にしており、やはり広告によって映画体験が損なわれることを批難している。
