『Ghost of Yōtei』は「いちばん美しいバージョンの日本」を描く プロデューサーインタビュー【TGS2025】
オオカミはなでられ……ないのか?
前作『Ghost of Tsushima』は、アメリカのゲーム開発会社がここまで日本をうまく描いたことと同時に、時代劇的な要素を上手に取り入れていることに驚かされた。
そして、続編となる『Ghost of Yōtei』がいよいよ発売される。今回の舞台となるのは、北海道は羊蹄山周辺。主人公は復讐のために生きる武芸者、篤(あつ)である。
はたして続編ではどのように日本を描くのか? そして、前作の不満はいかに解消されているのか? サッカーパンチプロダクションズ共同創業者でありプロデューサーのブライアン・フレミング氏に話を聞いた。
未開拓の北海道が西部劇と重なりあい、物語の舞台となる

──『Ghost of Yōtei』を制作するにあたって、「このゲームでいちばんやりたかったこと」はなんでしょうか。
やはり、プレイヤーがより自由に遊べるように世界を拡張していくことを重視しました。もちろんただ世界を広げるのではなく、やりがいを得られるような体験を目指しています。
本作のコードネームは「ワンダラー(放浪者)」で、まさしくそれがコンセプトになります。

──『Ghost of Tsushima』では、桜と紅葉が同時に咲いているような、ありえない一方で美しい景色が印象でした。試遊でも、羊蹄山の近くがこんなに美しいとは思いませんでした。やはり今回も方向性は同じようになるのでしょうか。
われわれはただ日本の美しさを表現するのではなく、いちばん美しいバージョンの日本を描くといった意図で景色を作り上げていきました。
ただし、現実を大きく崩すようなことはしたくありませんでした。フィクションではあるものの、やりすぎない範囲で蝦夷地の美しさを表現しています。
──前作は過去の歴史を題材にした武士の物語が描かれていましたが、今回はフィクションになるかと思います。なぜ、オリジナルの物語を創ることを選んだのでしょうか。
今回は江戸時代の初期が舞台になっています。関ヶ原の戦いの数年後で、これはゲーム内でも言及されています。
ストーリーにおいては、侍の誉れや矜持ではなく、よりパーソナルな物語を描きたいと考えました。より人間味があり、より心を打つ物語にするための設定となっています。

──史実における当時の羊蹄山付近はまだ未開拓で、オープンワールドゲームの題材にするのは難しいかと思います。なぜそこを選んだのでしょうか。
まさしく当時、そのあたりは未開拓でした。それこそが北海道を舞台にしたいと思うに至った理由です。
本作は時代劇から影響を受けていると同時に、西部劇からも大きな影響を受けています。未開の地へ向かうフロンティア精神という共通項があり、それに惹かれたのです。
オオカミがゲームシステムとしてもテーマとしても重要な存在に

──今回のバトルシステムでは、鎖鎌や槍が使用できますね。武士の誉を気にせず、より自由な形で戦いを楽しめるのでしょうか。
はい! 篤は流浪人、あるいは傭兵のような存在です。制限されることはなく、プレイヤーにとってもいろいろな戦闘を楽しめるようになっています。
──前作は自然豊かな世界を自由に探索するのが楽しかった一方で、オープンワールドと考えるとコンテンツが足りず単調になりがちな印象を持ちました。何か対策を打っていますか?
ご指摘の部分は、初期のデザイン段階で検討しました。やはり密度の高いオープンワールドを作ることが重要で、バリエーションを豊富にする方向で今作を作りあげました。
──前作では和歌を詠むシーンが非常に印象的でした。本作にも和を感じられるような、新しい要素はありますか?
墨絵のミニゲームですね。この墨絵は専門家による監修が入っており、本作を通じて世界のプレイヤーに日本の文化を伝えるきっかけになると思います。

──前作のストーリーはある場所を除いて分岐がない形になっていました。今回、主人公である篤の運命はプレイヤーに委ねられているのでしょうか。
運命を左右するようなことはありません。ただ、ゲーム体験という意味での選択はあります。たとえばコンテンツをどういう順番で遊ぶかなど、テスト段階でもプレイヤーの自由・主体性が発揮される場面がしばしばありました。

──本作にはオオカミが登場しますね。バトルで協力してくれるようですが……、なでることはできますか?
なでられるかどうかに関しては……答えられません(笑) オオカミは仲間として助太刀してくれますが、実はそれだけではありません。
篤は、幼少期にあだ名として「オオカミノヒメ」と呼ばれていました。メインストーリーも「ウルフパック(狼の群れ)」、新しい仲間・家族を作るという物語になっています。つまり、オオカミも重要なテーマのひとつなんです。
──UIがおしゃれすぎて驚きました。どのようにアイデアを膨らませたのでしょうか?
UIに関しては、できるかぎりミニマルな設計にする意図がありました。ただ、テスト段階ではミニマルにしすぎてわかりにくくなってしまったため、デザインとレイアウト含め、ゲーム内に出ている情報で理解しやすくなるように務めています。
──北海道へのリサーチ旅行を何度も行ったそうですが、そのときに印象に残ったエピソードがあれば教えてください。
やはり開発初期にアーティストやライターと一緒に行ったリサーチ旅行が印象深いですね。
そのときは松前町や文化的な建造物を訪問しました。また、アイヌの人々と交流して山菜採りにも行きました。そのほかにも現地の動物について調べましたし、木のアセットのために樹皮を実際にスキャンする、なんてこともありました。
前作を遊んでいても景色の美しさに驚く出来栄え

筆者は、前作『Ghost of Tsushima』を遊んでいるが、それでも続編となる『Ghost of Yōtei』を試遊した際、その北海道の美しさに息を呑んだ。
ともすれば不自然なほど綺麗に咲き誇る花のなかを馬で走れば、そこの草花がかきわけられ、花びらが散り、風に乗って飛んでいく。思わずフォトモードを起動したくなるような光景がふつうの移動で繰り広げられるのである。
いちばん美しいバージョンの日本を描くという言葉は確かで、それにかなり期待できそうな作品といえよう。
『Ghost of Yōtei』は2025年10月2日発売予定。
©2025 Sony Interactive Entertainment LLC.Developed by Sucker Punch Productions.Ghost of Yōtei is a trademark of Sony Interactive Entertainment LLC.
