日本が舞台の『Forza Horizon 6』はシリーズ史上最も複雑なマップに?世界で待望されたロケーションが「今こそ正しく描ける」理由
日本のプレイヤーにも“本物”と感じさせるこだわりについて、開発元にインタビューを行った
Playground Gamesの大人気オープンワールドレーシング、「Forza Horizon」シリーズ。その最新作の舞台が発表されるとき、ファンは毎回大興奮していた。たとえば『Forza Horizon 3』のトレーラーを思い出すと、私はいまでも鳥肌が立つ。初めてあの映像を見たときの気持ちは忘れがたく、ゲームへの期待で満ち溢れた瞬間だった。当時の私は最新作でオーストラリアが舞台になるだろうと予想はしていたが、それでも実際に見た際、とても感動させられたのだ。あの『Forza Horizon 3』のトレーラーは、レースゲーム以外の作品を含めても、ゲーム史上最高に近い出来であったと今でも思っている。
『Forza Horizon 6』の舞台が日本になりそうだとは前から予測されており、今までのレースゲームの中でも特に筒抜けの秘密であった。先月には、オーストラリアの自動車輸入会社が「Forza Horizon」の開発者が新作のために軽自動車を撮影しに訪れたと投稿したことで、その噂はさらに勢いを増すこととなった。多くの「Forza」ファンはこの時点で日本が舞台だと確定したと思っていたし、実際彼らは正しかった。
そして今回、『Forza Horizon 6』の舞台は日本になることがとうとう正式に発表された。確かにこの情報は前から漏れてしまっていたが、発表による興奮が削がれることは一切なかった。コロラド州が舞台の「Forza Horizon」第1作が2012年に発売されたときから今日まで、日本は次回作の舞台としてずっと望まれ続けてきた場所なのだから。
Playground Gamesでアートディレクターを務めるドン・アーセタ氏は、リークに関してはそこまで気にしておらず、今回のような発表を行うたびにチームが大きな活気を得られることを語ってくれた。
「次回作で舞台となる場所を明かすのは、特に興奮する瞬間ですね」とアーセタ氏は話す。「もう超興奮しますよ。リークされてしまったのは残念でしたが、ゲーム業界にはつきものです。起こるときは起こるんですから。みなさんにゲームの舞台となるロケーションを発表することができて、本当にワクワクしています。ようやくさらなる情報を明かすことも可能になりましたからね」
アーセタ氏によれば、日本は「Forza Horizon」の舞台として常に候補に挙がっていたのだという。だが今こそ、Playground Gamesがこの地を真にふさわしい形で表現できる時なのだ。
日本はゲームにずっと出してみたかった場所です
「日本は、ファンの方々がずっと待ち望んでいた場所でした」と彼は説明する。「1作目を発売してからずっと、誰もがこの地に関心を向けていました。私たちはそのことをしっかり認識していましたし、彼らが日本へ行きたい理由もよく理解していました」
「日本は豊かな自動車文化を持っていて、エキゾチックな場所だからです。数えきれないほど有名なものが存在しますし、日本といえばまずそんなことが頭に浮かびますよね。開発者である私たちにとっても、日本はゲームにずっと出してみたかった場所です。次回作の舞台となる場所を検討するのは長大なプロセスではありますが、日本はその中で毎回候補に挙がっていましたよ」
アーセタ氏は、「Forza Horizon」で日本を登場させるという決断に至った2つの大きな要因を挙げた。1つ目は、舞台に選ばれた国の文化をゲーム内でしっかりと、敬意をもって表現したいという意欲がチーム内でさらに大きくなってきたこと。2つ目は単純で、技術の進化だ。
「当然ながら、今ならXbox Series Xを使うことができますね」とアーセタ氏は言う。「『Forza Horizon 5』を開発してからそれなりの時間が経ち、このゲーム機の力をよりうまく使うことが可能になりました。また、オープンワールドの作り方についても同様です。本シリーズの開発の中で、技術力や開発ツールもどんどん進化していきました。これらの要素から考慮した結果、“よし、今回は日本を舞台にできる。今こそ、この場所を本当に正しく描ける時だ”と判断したのです。私たちにとって、この場所をきちんと表現できる状態にすることは本当に大切でした」
それにしても、もう少し早く日本を「Forza Horizon」の舞台に選ぶべきだったのではないかと感じる人もいるかもしれない。だがアーセタ氏は、最適なタイミングまで待ち続けたことで最良の結果が出せると自信を見せた。
「日本を舞台にできるチャンスは一度きりですから、確実に成功させたかったのです」と彼は話す。「そこで、これまでの作品で得たあらゆる知識を生かすと同時に、本物の日本を再現することのできる(山下)京子さんのような人々と、さらに協力を深めていきます」
山下京子氏はゲーム業界に長年関わってきた人物であり、カルチュラルコンサルタントとしてPlayground Gamesと過去18カ月にわたって協力してきた。彼女は大の車好きであり、ポルシェ愛好家でもある。
「大昔から、車とモータースポーツの大ファンなんです!」と彼女は笑顔を見せる。「日本の道路、山道、峠道で車を走らせてきましたし、カリフォルニアの自宅に戻ったときも週末には同じように走っています」
山下氏の仕事は、「Forza Horizon」の精神を守りながら、ゲーム内で本物さながらの日本を再現できるようPlayground Gamesを手助けすることだ。
「ゲーム業界の同業者からPlayground Gamesに紹介されました」と彼女は説明する。「業界では長い間働いていますね。メインの仕事は独立系のコンサルタントで、ゲーム業界で2つの文化を橋渡しする役目を担っています。日本と、欧米の国すべてですね」
「“ここが(『Forza Horizon』の次回作で)舞台となる場所ですが、興味はありますか?”と言われて、Playground Gamesに紹介されたんです。私が仕事としている分野と、個人的な趣味が、本当に完璧な形で合致したように感じました。私としては、断る理由なんて一切ありませんでしたよ!」
山下氏は、Playground Gamesが『Forza Horizon 5』の開発時よりも早い段階からチームに寄り添う人物を求めていることを知っていた。
「私の場合は、すでに18カ月ほどPlayground Gamesとともに仕事をしていますね」と山下氏は話す。「かなり長い期間ですね。18カ月前にこのチームに加わったとき、日本についての基礎知識を伝えるプレゼンテーションを行いました。私自身、日本についてあらゆることを熟知して提示できるわけではありませんし、どうアプローチすべきかを示す立場でもありません。それでも始まりはこんな感じでした。その後は、チームの人たちと丸一日かけたセッションを何度か行いました。私自身にとっても学びの場になりましたね。ある特定のテーマについて、どこまでの範囲で答えるべきなのかという面でも」
日本について教えるのは簡単なことではない。山下氏が詳しく話すように、Playground Games側でどれほど事前知識があるのかわからないと感じたときもあったという。だが開発者たちの目標を理解して、山下氏は彼らの意図に沿うことができるようになった。
「私がPlayground Gamesに来た初めの月から今までずっと、とても多くのことを教えてきましたし、チームの人たちとはずっと話してきました」と山下氏は話す。「日本文化にはたくさんの層があります。自動車文化はもちろん、エンターテインメント、食文化、あるいは東京の街中を歩くのと山を登ることの違いなどもあります。日本文化をゲーム、映画、音楽、アニメ、漫画などを通して見ることできれば、欧米の視点からでも表層を理解するのは難しくないでしょう。その人が持つ熱意や興味にもよりますが、多くの人々は日本文化を知るスタートラインにすでに立っているとは感じています」
「ですが、大事なのはむしろ、“この特定の事柄に関して今抱いている印象は、単に欧米からの視点にすぎないのではないだろうか?”ということだと思います。それが基本となる問いなんです。もしそこに違和感がある場合は、“なぜこれは本物とは違うのか?”と私たちは熟考します。本物のような日本を作りあげるだけでは終わらず、自国からの視点で体験することになる日本のプレイヤーから見ても、“『Forza Horizon 6』は本当によくわかってるな。ちゃんと調べてくれたんだ”と感じられるためにはどうすればいいか。日本のプレイヤーが本作を遊んだ際に、まるで自分が実際に住む国だと感じられるようにするということです」
「欧米からの視点については、日本をまだ訪れたことがないプレイヤーにも、主人公になりきって、日本を実際に訪れているような体験をしてほしいと私は話しています。ゲーム体験や、感触、サウンド、テクスチャ、まるで匂いまで伝わってくるかのような感覚です。こういった部分はデリケートで繊細でもあると私は考えていますが、そんな体験を実現できるように、開発チームの方々は莫大な量の調査や学習を続けてきました」
大事なのはむしろ、“この特定の事柄に関して今抱いている印象は、単に欧米からの視点にすぎないのではないだろうか?”ということです
アーセタ氏は、正しいバランスを見極めるうえで、山下氏の存在が必要不可欠だったと強調した。
「欧米の開発者という立場からすると、自動車文化に関しては、日本をある特定の形で見せるような映画がたくさんありますし、VlogやYouTubeチャンネルも見られます」と彼は話す。「でも京子さんは、日本の視点で私たちを現実的な形に抑えてくれるのが上手です。それは映画や動画投稿者が見せるものとは異なっており、彼女の知見が得られたのはすばらしいことでした」
「開発チームも京子さんと一緒に日本を訪れて、生の自動車文化を目の当たりにすることができました。その空気を肌で感じられたのは本当にすばらしかったです。映画で見られる描写とは確実に別物です。ただ『Forza Horizon』に関しては、多くのプレイヤーがその(映画で描かれるような)視点に立っていることも承知しています。ですから、映画などで見られる空想的で楽しい描写と、現実的な描写のバランスを取るのが私たちの仕事だともいえますね」
残念ながら、『Forza Horizon 6』の日本に登場する車については現段階では明かせないようだ。
「そうですね、登場する車種やメーカーなどの詳細についてはまだお伝えできません」とアーセタ氏は認める。「ただ、『Forza Horizon』にはもちろん多彩な車種が登場します。日本の独自性も、ゲーム内で走る一般車、購入可能な車、Forza Editionの車として確実に再現されます。日本を象徴する車たちが選ばれ、日本のユニークな部分を見せてくれるでしょう。当然ながら今後もっと情報を出す予定ですが、今の時点ではどんな車が出てくるかは明かせません」
しかし、うれしいことに、アーセタ氏は本作のマップについては情報を明かしてくれた。当然というべきだろうか、開発チームにとって「これまでで最も野心的なマップ」となるそうだ。
東京の街も舞台となりますが、実際に走れるエリアは『Forza Horizon』史上最も複雑に入り組んだものになるでしょう
「作品を重ねるごとに、私たちはさらに大きな野心を持って挑戦を続けてきたと思います」と彼は話す。「最も大きなマップになるのは確実で、マップ内では場所ごとの違いが大きく出ています。東京の街もゲームの舞台となりますが、実際に走れるエリアは『Forza Horizon』史上最も複雑に入り組んだものになるでしょう。またそれと対照をなす場所として、海岸沿いや平野の水田地帯など、開放的で美しい道路も用意しています。『Forza Horizon 6』では道路にもすばらしいコントラストが生まれることになると思いますし、そのバランスを取るのは本当に楽しかったです」
「特に都市のエリアにおいて、『Forza Horizon』ならではのゲーム体験を考えながら調整を施すという作業があります。東京といえば、道が狭く、交通量は多いというイメージがありますから、このバランスを取るのは非常に難しいですね。東京という場所で『Forza Horizon』らしい体験を構築するために、チームはすごくがんばってくれています」
「私は建築が大好きなので、東京都はもう最高の街ですね。数えきれないほどのすばらしい建物、ランドマーク、名所などを『Forza Horizon 6』の中で再現しています。新しいゲームのビルドが出るたびに、“これはやばいね、プレイヤーに見てもらえる日が待ちきれない”と思います」
日本は今、レースゲームの舞台として再び注目を集めている真っ最中だ。野心的なインディーレーシングの『JDM: Japanese Drift Master』が登場し、元気は『首都高バトル』で堂々の帰還を果たした。アーセタ氏もこうした動きをうれしく思っているようだ。
「レースゲームでもほかのジャンルのゲームでも、日本が舞台として取り上げられているのはすばらしいことですね」と彼は言う。「日本を『Forza Horizon』流のやり方でゲームに登場させることができて、すごくうれしいです。高い自由度、楽しいゲーム体験、そして美しい世界など、このシリーズならではの要素を、私たち独自のやり方ですべて投入していきます。ほかのゲームがどうやっているのかを見るのも刺激的ですし、私たち自身も、自分たちの色を出せることにすごくワクワクしています」