これが現代に復活する「クレイジータクシー」の理想形!ゲームプレイを見た感想

世界を旅するタクシードライバー?

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セガよ、お帰り! Summer Game Festで『クレイジータクシー:ワールドツアー』のゲームプレイを見せてもらい、最初に出てきた感想がこれだった。

『クレイジータクシー』は1999年に稼働したアーケードゲームだが、僕が初めてプレイしたのはその翌年にリリースを迎えたドリームキャスト版だ。

アーケードゲームと家庭用ゲームが隣り合わせに存在していた時代に、ドリームキャストは「短い時間でプレイヤーを笑顔にさせるゲーム」の宝庫だった。『クレイジータクシー』がその代表的な存在だったと言えるだろう。

オフスプリングやバッド・レリジョンといったアイコニックすぎるバンドの曲で盛り上がりながら、平気で逆走しながら向かってくる車に思う存分にぶつかって、坂道の上を飛んで、跳ねて、余裕をぶっこいた調子で客を目的地まで送る。これほど態度のデカい、色気のあるゲームもそうそうないだろう。それでいてバカっぽくもあり、思わずニヤリと笑ってしまう。ドリームキャストっ子だった僕からすれば、これこそが2000年代初期のセガを象徴するノリだ。

しかし、時代が進むにつれて『クレイジータクシー』のような体験は「グランド・セフト・オート」といった大規模なゲーム体験に断片的に内包されるようになっていった。セガはそうした時代の変化に適応しながらも、どこかで『クレイジータクシー』がもっていたあのデカい態度を置いて行ってしまったような気もした(「龍が如く」などが引き継いでいる部分もあるが)。

『クレイジータクシー』(1999年)

「クレイジータクシー」の新作が発表されたとき、僕はうれしいと同時に、不安な気持ちもあった。中学生の頃に一緒にバカをやった友人と再会できるのはいいけど、彼は果たして社会人としてちゃんとやってるだろうか? マルチプレイゲームになると報道されたときも、個人的に求めている方向ではないにせよ、「まあ、そうだよな」と素直にあきらめがついた。そりゃ、令和の時代にあのアーケードライクなゲームが流行るわけないもんね、と。

Summer Game Fest 2026の会場の地下にある密室には、シリーズの生みの親である菅野顕二氏が満面の笑みで座っていた。長い白髪が四半世紀が経過したことを物語っていたが、貫禄がありながらもユーモラスな風貌から、僕は悟ってしまった。僕らの愛した「クレイジータクシー」が帰ってきたのだ、と。

ゲーム画面が披露されたとき、その予感が確信に変わった。最新のゲームとして魅力的に再現された、「クレイジータクシー」の世界観としか形容のできない街並みが広がっていたのだ。約24年ぶりの本格的な新作『クレイジータクシー:ワールドツアー』である。

「意外にきれいだなと自画自賛しております(笑)」という菅野氏に対して、「いや、まじでかなりいいビジュアルっすよ!」と返事したくなった。

原作の舞台でもある「ウェストコースト」という、サンフランシスコをモチーフにした街が細やかに描きこまれ、プレイヤーは客をピックアップして目的地まで送る。もちろん、あのアイコニックなBGMと共に。

ヤーヤーヤーヤー !♪

確かにサイコー。でも、これだけならリマスターで済むと思うだろう。しかし、『クレイジータクシー:ワールドツアー』はシリーズのアイデンティティに忠実でありながら、確実に進化している場面も多く見受けられた。

例えば、タイマーと戦って制限時間内にできるだけ多くの客を送る遊びとは別に、画面にタイマーが表示されず自由にドライブできるプレイスタイルもあるみたいだ。街を走り回っていると、タイムアタックやレースなど、様々なアクティビティも楽しめる。「Forza Horizon」までは行かずとも、『マリオカート ワールド』のようなオープンワールドドライビングゲームの側面があるわけだ。マップを開き、好きなポイントへワープもできる模様。

原作はひとつの時間帯でしか走れなかったが、今作では4つの時間帯からいつでも選べる。時間帯によって街の雰囲気が変わることはもちろん、別のアクティビティも楽しめたら面白そうだ。

通常の送迎ミッションとは別に、特別なミッションもある。菅野氏が見せてくれたのは、ピザのデリバリーを行うというものだ。ピザのシェフらしき客がタクシーに乗り、数十のピザ箱の山を頭上に持ち上げている。このミッションでは制限時間内にすべてのピザを届けなければならないらしいが、大量のピザ箱が車の走行にあわせて激しく揺れ、飛んでは跳ねる画作りも実にユーモラスだ。

釣り人をタクシーに乗せると、桟橋で車に乗ったまま釣り竿を投げてもらうとぶっ飛んだフィッシングミニゲームが始まる。魚が食いついたタイミングで、思いっきりバックするのだ。ゴルフゲームのようにゲージが伸びるタイミングでボタンを押すというシンプルな内容だが、「クレイジータクシー」のおかしな世界観に貢献してくれている。

特に好きだったのは、街のディテールである。異常に急な坂道を走ったり、遠くに広がっている信じられない建造物で彩られた街並みを眺めたりしていると、どんどん「おかしいぜ!」と突っ込みたくなる。駐車場のビルといった、これまでのシリーズ作品では訪れることのできなかった場所まで、タクシーで探索可能となっている。プレイ映像を見ているだけで、この世界を隅から隅まで探索したい欲求が湧いてきた。しかし、ウェストコーストがあくまで『クレイジータクシー:ワールドツアー』のひとつの舞台に過ぎないとしたら?

菅野氏によると、「ワールドツアー」というサブタイトルは「世界中を飛び回る体験」を意味しているらしい。

「ひとつの街が広がっていくんじゃなくて、世界を飛び回る体験を提供したいと思いました。世界には5大陸があるので、それぞれに代表されるようなロケーションを楽しんでいただきたい」と菅野氏。

本作は街を見て楽しむ側面がかなり強いので、菅野氏の発言で期待値が爆上がりした。もちろん、現時点で詳細はわかっていない。発売日から5つのロケーションが収録されているのかもしれないし、発売後にロケーションが徐々に増える可能性だってありそうだ。

いずれにしても、現代に「クレイジータクシー」を蘇らせるのなら、これ以上にいい形はないような気がした。ぶっ飛んだ世界観で街を暴走しながら客を目的地まで送るというゲームコンセプトはそのままに、広い箱庭で様々な要素を楽しむという現代的な文脈を与えているわけだから。

それでも、近年の大規模なオープンワールドゲームと比べると素朴なゲーム体験であることは変わらないだろう。しかし、アーケードゲームの黄金期が終わりを迎え、ゲームがより大規模なエンターテインメントに進化した2000年代初期と違って、今ではむしろAAAタイトルのボリュームに疲弊したユーザーも多い。そんな時代に、当時の遊びを残しつつほどよく進化した『クレイジータクシー:ワールドツアー』は、まさに多くのゲーマーが求めているものなのではないだろうか。

菅野氏自身にとって、「クレイジータクシー」を復活させたかった最も大きな理由は「人々を笑顔にしたい」ことだったという。

「だって、今日も笑ってくれたでしょ?」

確かに、本セッションに参加したゲームライターは全員、始終爆笑していたのである。

『クレイジータクシー:ワールドツアー』は2027年に発売予定だ。

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