壮大で奥深く、それでいてユーザーフレンドリーな大作RPG!工業シミュレーションとRPGを融合された『アークナイツ:エンドフィールド』試遊レポート

初心者も玄人も魅了するゲーム体験

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『アークナイツ:エンドフィールド』(以下、エンドフィールド)は実に壮大なRPGで、これほど様々なコンテンツの詰まったRPGもめったにないだろう。4人パーティのリアルタイムアクションは連携を主体にデザインされており、爽快でありながら戦略性に富んでいる。リニア形式を採用しつつ、広大なフィールドやディテールの行き届いた街を自由自在に探索できる。もちろん、『Factorio』などを彷彿とさせる、本格的な工業建設シミュレーションも忘れてはならない。超一流のアニメ調3Dグラフィックスによる、豪華な演出の重厚なSF工場物語も大きな魅力だ。

本作は同じHypergryphが開発する人気タワーディフェンスゲーム『アークナイツ』と共通したユニバースで展開しているが、同作をまったく遊んだことがなくても問題ない。「エンドフィールド」は同作のずっと後の未来が舞台になっており、物語が前後関係にあるわけではないのだ。『アークナイツ』を遊んだことのない筆者でも、「エンドフィールド」を5時間ほどプレイして、一度も置いてきぼりになることはなかった。一方で、『アークナイツ』をプレイしているユーザーのためには、繋がりを感じさせる伏線も敷かれているらしい。

「エンドフィールド」の序盤は、雪に包まれた神秘的なロケーションからスタートし、主人公はリニアなエリアの奥を目指しながら道中の敵と戦う。ジップラインに乗るといった探索のアクションや、バトルの基本的な流れを少しずつプレイヤーに伝えるチュートリアルのおかげで、「初心者でも遊びやすいリッチなRPG」というのが筆者の第一印象だった。

ームを1時間ほど進めると、バトルに加え、もうひとつのメインの遊びといえる「集成工業システム」も徐々に楽しめるようになった。いわゆる工業シミュレーションゲームのパートである。このようなシミュレーションゲームを久しくプレイしていない私は、この部分に対して少し不安があった。しかし、集成工業システムも一気にプレイヤーを圧倒することなく、かなりシンプルなところから始まった。なるほど、工業建設シミュレーションゲームとしても、本作は「初心者向き」といえる内容に仕上がっているわけか。もちろん、RPGと工業シミュレーションの融合は、それだけでもオリジナリティのあるコンセプトだ。しかし、これらシステムは筆者が最初に感じたほどシンプルなものではなかった。

そう、5時間の試遊を終えると、実に奥の深いゲームを遊んだ実感が強く残り、「初心者向け」というイメージがいつのまにか消えていた。「エンドフィールド」は初心者も安心できる丁寧な導入を工夫しながら、玄人をも唸らせる奥深さをあわせもっているのだ。

攻撃と回避を交互に行うだけから始まるバトルも、慣れると必殺技や連携技を自由自在に繰り出す戦略的な駆け引きに発展する。

三人視点でキャラクターを操作しながら新しく建てた施設まで電気を運んでいるだけだった序盤から、いつのまにか俯瞰視点で複雑な工場を管理している自分がいた。集成工業システムは「図面」を参考にしたり、模擬の訓練をこなしたりすることで、このジャンルに慣れていないユーザーでも遊べる丁寧な作りになっているのがうれしい。

バトルの最大の魅力は、やはりキャラクターたちが作り出す豊富なバリエーションにあるだろう。本作では様々なキャラクターをアンロックでき、(一部の場面を除き)メインストーリーとは関係なく好きなようにパーティ編成ができる。キャラクターそれぞれの見た目がユニークなデザインになっていることはもちろん、プレイフィールも激しく異なる。同じ近接タイプでも、大剣をスタイリッシュに振り回すポグラニチニクとパンダの料理人であるダパンの重いパンチはずいぶんと手触りが違う。ほかにも盾を使った守りの得意なキャラクターや遠距離攻撃を繰り出すキャラクターがいて、羊のようなクリーチャーを召喚するアルデリアといったぶっ飛んだキャラクターもいる。個性豊かなキャラクターたちを好きなように組み合わせ、様々な連携をとらせることで夢中になれるバトルシステムだ。

作品の舞台はタロIIという名の惑星。地球のように様々な生き物が生息しているが、今は大きな危険に晒されている。主人公はタロIIを危険から救うために機能するエンドフィールド工業という組織の「管理人」だ。10年の眠りから目覚めたばかりで、記憶喪失の状態でありながら「文明を守る重要な人物」だ。「何も知らないのにこの世界を変える運命を握っている」という意味では典型的なRPGの主人公像だが、会話における選択肢を通して自分なりに味付けができる。それに、この管理人は始終仮面をしており、その正体が明かされていないという不思議な存在でもある。

管理人の相棒であるペリカは「エンドフィールド」の開発者の夢に出てきた「バイクに乗ってひとりで砂漠を横断する少女」をベースにデザインされており、道理で芯の通った誠実なキャラクターとなっていた。管理人が眠りについていた間は責任者として果敢に振る舞い、その後は管理人を案内する役割を担う。プレイヤーをガイドする存在と言える。

筆者が特に魅力を感じたのは、ペリカに続いて3人目のパーティメンバーとして加わったチェン・センユーだ。おちゃめな武術少女といったところのキャラクターで、シリアスなストーリー展開にしかるべきユーモアをもたらしてくれる。このチェンが、ふくろうの見た目をした博士のようなキャラクターであるアンドレイの発言に茶々を入れる演出が、プレイヤーを笑顔にさせる。

ゲームの序盤で、このアンドレイに課せられたミッションをこなすことで、プレイヤーは集成工業システムの基本を教わっていくことになる。アンドレイからの依頼をこなすようになるのはちょうどバトルに慣れた頃で、そういう意味でゲームの序盤はプレイヤーに常に新しいゲームプレイやシステムを提示することで、飽きさせないことに成功している。

近年の中国の大作ゲームの多くと同様、「エンドフィールド」も日本のアニメやJRPGから影響が色濃く反映されている。だが、少し意外に感じたのは、小島秀夫のゲームからの影響も少し感じられたことだ。例えば、「メタルギアソリッド」を彷彿とさせるミッションブリーフィング(任務説明)の画面があるし、各地域を電気で再接続する流れは『DEATH STRANDING』と共通したテーマ性が感じられる。シングルプレイ中心のゲームでありながら、プレイヤー同士の緩い繋がりが存在することも、『DEATH STRANDING』と似たデザイン哲学だろう。プレイヤーはほかのユーザーが設置した「共有設備」を利用できるが、ずっと残らないという制約がある。だが、アイテムを使えば共有設備の存在時間を延長できるというオリジナリティのあるひねりを加えている点も称賛に値するだろう。

今回の試遊では「武陵城」というエリアもプレイできた。桂林や張家界を彷彿とさせる中国らしい自然景観と工業SFを融合した唯一無二のビジュアルが大きな魅力となっていた。武陵城に入るまでのストーリーも体験できたが、私は試遊の残り時間が気になり、残念ながら一部のストーリー場面をスキップせざるを得なかった。だが、スキップを選ぶとテキストでストーリーの出来事を簡単に補足してくれる仕様があった。「エンドフィールド」はストーリーの演出も力の入った作品なのでぜひともじっくりと見届けてほしいが、時間のないプレイヤーのためにこうした補足が用意されているのも親切だと感じた。

武陵城は今回の試遊で体験した最も広い街で、実に多くの建造物やNPCで彩られていた。中に入れる建物やインタラクションのとれるNPCこそ少ないが、見る分には楽しい街となっている。

そして、この武陵城でも集成工業をしていくことになるが、川に面したこの地方では「水」がテーマになっており、ポンプで水を汲むといった遊びが用意されていた。このように、エリアごとに異なるテーマを導入することで、集成工業も飽きの来ないシステムになっているわけだ。

最後に言っておきたいのは、本作の音楽も実に優れていることだ。取材当日は会場でテーマ曲がループ再生されていたが、数時間座っても飽きないほど素晴らしい曲となっている。

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