国内外のスタートアップを対象に開催されている、日本発のアクセラレーション・プログラム「SPORTS TECH TOKYO」。電通と米国の投資会社スクラムベンチャーズが進めるこのプロジェクトの現況を紹介し、「なぜ今、スポーツテックなのか」を解説するパネルディスカッションが8月30日に開かれた。東京都内で開催されたイベント「Microsoft Innovation Lab 2019」のセッションの1つで、タイトルは「Go sports, Go global ! / SPORTS TECH TOKYO の全貌とチャレンジ」。
スタートアップメディアの運営などに携わってきた池田将氏をモデレーターに、パネリストとして、電通の中嶋文彦CDC Future Business Tech Team部長・事業開発ディレクター、スポーツブランディングジャパンの日置貴之社長、Blue United Corporationの中村武彦President・CEOの3人が登壇。中嶋氏が主にプロジェクトの説明役を務め、ともに国内外のスポーツビジネス事情に詳しく、このプロジェクトのメンターも務める日置、中村両氏が自身の経験を元に補足する形式が採られた。
スクラムベンチャーズによると、米国ではスポーツの産業規模が拡大しており、2016年の時点で50兆円以上と試算されている。中でもスポーツテック関連スタートアップへの投資規模は、2011年から2015年までの4年間で約3倍に拡大しているという。そんな中、日本においても政府の掲げる「日本再興戦略2016」の「官民戦略プロジェクト10」の1つにスポーツの成長産業化が挙げられており、2015年に5.5兆円だったスポーツ産業の市場規模を、2025年には15.2兆円へと拡大させる方針が示されている。
中嶋氏は「スポーツを介した新しい産業創造」を目指す姿勢をアピール。ラグビー・ワールドカップが2019年、東京五輪・パラリンピックが2020年に開催されることで日本に注目が集まっていることと、大企業とスタートアップが組むオープンイノベーションの機運が高まりつつある状況に触れた上で、このプロジェクトを開催することについて「日本から世界へ、世界から日本へ、すごく良いタイミングだと思っている」と述べた。
2019年1月末の締め切りまでにこのプロジェクトに応募したスタートアップは、世界33カ国からの約300社。8割以上が海外のスタートアップだったという。4月にはその中から、このプロジェクトのアクセラレーション・プログラムに参加できるファイナリスト12社が発表された。それぞれの本社所在地の内訳は、米国6社、日本、英国、インド、スペイン、フィンランド、イスラエル各1社となっている。
このうち、4D Replay(米国)は2019年の世界柔道選手権のテレビ中継でも話題となった、瞬時に360度ハイライト映像を作成するメディアテクノロジーカンパニー。SportsCastr(同)は自分自身がスポーツキャスターになってスポーツ中継を解説する動画を配信できるプラットフォームだ。Pixellot(イスラエル)については7月、朝日放送グループHD、NTT西日本、朝日新聞社、電通、日宣と共同で、AIカメラを活用したスポーツ映像配信事業に関する共同実証実験を開始することが発表されている。
8月20日には、大リーグ・サンフランシスコジャイアンツの本拠地であるオラクル・パークで、ファイナリスト12社がプログラムの成果を発表する「SPORT TECH TOKYOワールド・デモデイ」を実施。関係者やメンター、日米の有力投資家など計300人以上が集まり、その模様も紹介された。
会場にはファイナリスト12社や、選考に一歩届かなかった13社の計25社のデモブースも設けられ、投資家たちと活発な意見交換がなされた。メインイベントであるファイナリスト・ピッチでは、スポーツクラブやリーグ、競技団体などとの新規パートナーシップの締結などが発表された。2019年中盤以降となる「SPORT TECH TOKYO」の後半戦では、これらのパートナーシップを生かしながら、プロダクトの実証実験を始めていくという。
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