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【タックル法律講話】公共図書館での迷惑行為が増えている?!
公共施設のサービスを享受するには
その場のルールを守る「責任」が伴います

2026/04/03

公共図書館での迷惑行為が増えている?!
公共施設のサービスを享受するにはその場のルールを守る「責任」が伴います



職員に暴言を繰り返す迷惑利用者を逮捕!

先日、私は、某公立図書館の職員向けに「公共図書館等におけるクレーマー・カスタマーハラスメント対策」と題して研修会を行いました。現場からは、理不尽な要求や迷惑行為を繰り返す悪質な利用者に悩まされているという切実な声があがっていました。 
今年1月にも、昨年9月に福岡市南区の公共施設の図書室で、カウンター業務をしていた司書の女性(50代)に「このアホ!バカ野郎!このカス!ボンクラ!」などと大声で暴言を吐いた無職の男(61歳)が、侮辱罪の容疑で逮捕されています。
事件当時、女性は男の利用手続をしていましたが、途中で男がトイレに行こうとカウンターを離れたため他の利用者の手続に対応していたところ、「順番で先を越された!」と腹を立てたということです。昨年11月に女性が警察に相談し事件が発覚。男が事件後も毎週1回、図書館を訪れていたことから逮捕につながりました。女性は事件後、司書を辞めてしまいました。
このような事件は氷山の一角で、日頃から、大なり小なり常軌を逸する迷惑行為が繰り返されているのが実態です。
●職員への乱暴な言動、「バカ」「無能」
●職員名の呼び捨て、「お前」呼び、公務員批判
●思い通りにならないと威圧的態度で長時間にわたり苦情を繰り返す
●特別扱いの要求(自分の来館日に合わせて本を取り寄せておけ!貸出期間を長くしろ!)
●特定の職員に対してレファレンスと称して長時間の雑談を行う
●特定の職員に対して勤務日やシフトを聞く、勤務時間外に呼びだす
●パーテーションを超えてカウンター内に入り込む
●長時間の居眠り、場所の占拠
●そこは読書スペースではありません」と注意すると怒鳴る、などなど。
度重なる迷惑行為や職員への威圧的な言動がエスカレートし、警察が出動するという事態も増えています。

抽象的な「マナー」に頼らず、基準を作る

現場は苦労し疲弊していますが、図書館員の倫理綱領(日本図書館協会)には、「図書館員は社会の期待と利用者の要求を基本的なよりどころとして職務を遂行する」「図書館員は利用者を差別しない」と明記されていることから、迷惑利用者に対しても、なかなか「出入り禁止」「利用禁止」までは踏み込めないのが現実です。
しかし、「公共施設=誰でも出入り・利用自由」という考えは一見正しいようですが、他者の権利まで侵害していいということにはなりません。
この点、過去には、1日に大量の本の借り出しと返却を繰り返すなどの迷惑行為をしていた利用者に対し、図書館側が行った「利用・入館の全面禁止」の措置は許されるとした裁判例(名古屋高裁)もあります。
実効性を高めるためには、抽象的な「マナー」に頼るのではなく、具体的な禁止事項や滞在のルールを法律や条例レベルで明確に定義し直すことが重要です。明確な基準(条例)という「盾」があることで、現場の判断に客観性が生まれ、現場の職員の正当性をより強固に主張しやすくなります。
公共施設のサービスを享受するためには、同時にその場所のルールを守るという「責任」が伴います。法や条例による整備は、「排除」のためではなく、結果としてすべての人が安心して心地よく利用できる環境を守るための「砦」なのです。
それでは次号で!