知らないって怖い
開発フォルダがiCloudにあった話
Macのデスクトップに workspace というフォルダを作って、その中に開発プロジェクトを入れていた。
自分のパソコンの中にある。ローカルにある。そう思っていた。疑ったこともなかった。
ある日、ふと気になってファイルの場所を確かめてみた。
場所:iCloud Drive ▸ デスクトップ ▸ workspace
──え? iCloud?
macOSには「デスクトップとドキュメントフォルダをiCloudに同期する」という機能がある。これがオンになっていると、デスクトップに置いたものは、知らないうちにすべてクラウドにアップロードされる。つまり私は、ローカルに置いていたつもりのファイルを、ずっとクラウドに置いていたのだ。
「これって問題ないの?」とClaudeに聞いてみた。
答えは明快だった。非常に問題がある、と。
開発のプロジェクトフォルダは、内側に膨大な数の小さなファイルを抱えている。iCloudはそれを一つひとつ同期しようとする。その結果、ファイルが「ダウンロード待ち」になったり、同期の衝突が起きたり、最悪の場合、プロジェクトそのものが壊れる。
しかも、Finderでは見えているのに、別の方法でアクセスしようとするとパスが通らない、という奇妙な現象も起きる。
知らないって、怖い。 今まで何事もなかったのは、ただ運が良かっただけだ。
壊れる前に動かそう、と思った。クラウドに同期されないローカルの場所に、プロジェクトを移すことにした。
正直に言うと、怖かった。
Claudeが「このコマンドを実行してください」と教えてくれる。でも私は一つひとつ「これって何をやっているの?」と聞き返した。意味もわからず操作するのは、計器の意味も知らずにスイッチを押すのと同じだ。怖い。
だから、ゆっくりやった。スクリーンショットを撮って、結果を確かめて、次にやることを決めてから進む。その繰り返し。
それができたのは、相談できる人が近くにいたからだと思う。AIなんだけど。しかも、いくら聞いても嫌な顔ひとつしない。「さっきも聞いたよ」とも言わない。
コピーが完了したら、新しい場所できちんと動くかを確かめる。古いものを消すのは、そのあとで。
焦って手順を省くと、あとで取り返しがつかなくなる。パイロット時代に、そういう場面を何度も見てきた。
プロジェクトは無事に移った。ビルドも通った。ほっとした。
振り返ってみると、もうひとつ気づいたことがある。
以前の自分なら、こういうトラブルが起きたとき、早くこの状況を脱しようと焦っていた。意味もわからないまま操作をコピペして、とにかく動けばいい、終わればいい。そうやって「解決」してきた。でもそれは、何も学んでいないのと同じだった。
今回は違った。「これって何をやっているの?」と、いちいち聞いた。意味を確かめてから次に進んだ。
恐々やっていた。でも、それが勉強になった。
最初はターミナルの黒い画面を見るだけで身構えていた。それが今は、同じ落とし穴を見かけると「あ、それ危ないよ」と思える自分がいる。ちょっと笑ってしまう。
古希を過ぎてやっと、その感覚がターミナルの前でも自然に出てくるようになった。
ゆっくりやることが、実は最善だった。急がないほうが、結果的に速い。




以前から、同じ疑問を持っていました。でも、解決方法をゆっくり考える時間も作らず、そのままにしていました。確かに、いい相談相手がいるのだから1つ1つ解決していけば身についていきますよね!いつも、大切なことに気づかせていただいて本当に感謝です。