私の発信を振り返えったら…
広げすぎた2ヶ月の正直な話。
はじめに
2ヶ月前の自分の投稿を、久しぶりに見返した。
読んでいて、少し止まった。
AI医療Tipsの図解。
DNAR・CPAの整理。
DAO的な発信論。
認知症と家族の対話。
薬歴補助の話。
CPA対応チェックリスト。
全部、真剣に書いた投稿だ。
でも、一本の線が見えない。
「この人、結局何を教えてくれるんだろう?」
そう思われてもおかしくない2ヶ月だったと思います。
この記事を1枚でまとめるとこんな感じです
1.何がバラバラになっていたか
客観的に並べてみると、テーマが同時に4つ以上走っていた。
医療現場の実務系。
AI活用のTips系。
DAO・コミュニティ系。
医療倫理・緩和ケア系。
それぞれに価値がある。
それぞれに、読んでくれた人もいる。
ただ、「アースキーといえば何?」と聞かれたとき、自分でも一言で答えられなかった。
それがいちばんの問題だった。
読者が混乱するより先に、自分が混乱していた。
「今週何を出すか」ではなく「今週何を読まれそうか」を考えていた。
発信の軸ではなく、反応の予測から逆算していた。
ここをうやむやにしたまま続けてしまっていたのは、反省しています。
発信を「出すこと」が目的になっていた。
「誰かに届けること」より、「発信を続けていること」を優先していた時期があった。
2.なぜそうなったか
今振り返ると、理由はわかる。
「役立つことを出したい」という気持ちが先走りすぎていた。
医療従事者に向けて書けば読まれるかもしれない。
AIを紹介すれば保存されるかもしれない。
図解にすれば拡散するかもしれない。
医療倫理の話は重厚感があって信頼されるかもしれない。
そういう計算が、テーマを選ぶ基準になっていた。
「このテーマは読者にとって価値があるか」ではなく、「このテーマは反応されそうか」で選んでいた。
気づかないうちに、軸がなくなっていた。
テーマを自分で決めるのではなく、「読まれそうなものを拾う」発信になっていた。
これは、発信者として一番危ない状態だ。
「誰に届けるか」が曖昧なまま、「何を出すか」だけが増えていく。
読者にとってはノイズになる。自分にとっても、続けるほど疲弊する。
反応があっても、積み上がらない。
ベルトコンベアの上を走り続けているようなものだ。
動いているのに、前に進んでいない感覚。
それを感じていたのに、止まれなかった。
「先週は出せた。今週も出さなければ」
そういうプレッシャーだけで動いていた時期がありました。
3.誰のための発信だったか
ここで、もっと根本的な問いに当たった。
誰のために発信しているのか。
医療AIに興味がある人?
病院薬剤師?
DAOコミュニティの人?
全員に届けようとすると、誰にも届かなくなる。
マーケティングの世界では「全員ターゲットは、誰もターゲットにしない」と言う。
発信も同じだ。
「読んでほしい人の顔」が具体的に浮かぶかどうか。
2ヶ月間、それがなかった。
「誰かに届けること」より、「発信を続けていること」を優先していた。
これが2ヶ月間、薄く感じ続けていた本当の原因だったと思います。
4.データが教えてくれたこと
先日、自分のアカウントの投稿データを分析した。
朝の投稿が強い。夕方は弱い。
正直、驚いた。
自分は「夜に強い」と思っていた。
18時〜22時に投稿することが多かった。
でもデータが示していたのは逆だった。
読者は通勤前、起床後、勤務前に見ている。
医療者、AI系、知識系の読者。
「ながら見」ではなく、「集中して読む」モードで来ている。
18〜19時は、帰宅・夕食・疲労が重なる時間帯だ。X全体でも競争が激しくなる。
図解。長文。医療の話。思想。
これは、ちゃんと読む気がある人のためのコンテンツだ。
そういう人たちが、朝に来てくれていた。
なのに夕方のバラバラなテーマを、5スロットに分けて投げていた。
「投稿数を増やせばリーチが増える」は、アルゴリズムの観点では必ずしも正しくない。
Xには Author Diversity Scorer という仕組みがある。
同じアカウントの投稿が続きすぎると、フィードに出る頻度が自動で割り引かれる。
量産より、質と時間帯。
朝に1本強いものを置く。夜は返信と交流に使う。
読者の生活リズムに合わせること。競争が激しい時間帯を避けること。
データがはっきりとそう言っていました。
5.「何者か」が薄くなっていた本質
発信軸がないと、何が起きるか。
「誰でも知っていること」しか出せなくなる。
AIツールの紹介は、ほかのアカウントも出せる。
医療トピックの解説は、専門家がもっと詳しく出している。
図解だけなら、うまい人がいくらでもいる。
自分にしか出せないのは、何か。
現場で実際に試して、止まった経験だ。
薬歴補助にAIを使おうとして、業務ルールで止まった。
患者説明文をAIで生成したら、確認・修正コストが思ったより大きかった。
高齢スタッフへの説明が、難しかった。
クラウド系AIには個人情報が入れられないから、使える場面が限られていた。
こういう話は、AIインフルエンサーには出せない。
病院薬剤師として現場にいるから、語れる話だ。
「AIで何ができるか」ではなく、「現場でどこに壁があるか」。
そこを語れる人は、医療×AI発信者の中でも思ったより少ない。
成功した話より、止まった話のほうが、現場の読者には刺さる。
なぜなら、現場でAIを試して止まった経験がある人のほうが、圧倒的に多いからだ。
「うまくいった事例」を読んでも、自分の現場には当てはめにくい。
でも「なぜここで止まったか」を語った話なら、「自分もそこで止まっている」と重なる。
それが発信の力になると、2ヶ月遅れで気づきました。(おせぇ~w)
6.今後の軸を決めた
「広く紹介する薬剤師」から方向を変える。
「現場の違和感を、AIを使いながら翻訳する薬剤師」 として立ち直す。
翻訳する、というのはこういうことだ。
現場で止まったことを、具体的に言葉にする。
なぜAIが現場で使いにくいのか、導入に何が必要なのかを整理する。
読者が「明日ひとつだけ安全に試せる一手」を渡す。
成功談よりも、停止ログを出す。
バズよりも、保存される投稿を作る。
新ツール紹介よりも、現場が1mmでも楽になる話をする。
これが「ボアリング戦略」と自分が呼んでいる発信スタイルだ。
英語の”boring”——退屈・地味という意味を、あえて選ぶ戦略のこと。バズを狙わず、実証済みの価値を淡々と積み上げる。
地味だけど、止まると困る価値を積み上げる。
派手ではないが、継続できる。そして同じ立場の人にしか真似できない。
6月からの発信コンセプトは、こうなる。
「AIで書ける医療。AIで残せる現場。」
医療の現場には、消えていく言葉が多い。
先輩が持っている判断基準。
ベテランが積み上げてきた患者への接し方。
薬剤師が個別に育ててきた服薬指導の工夫。
これらは今、会議室やベッドサイドで話され、残らずに消えていく。
AIはこれを残す道具になれる。
ただし「AIが書く」ではなく、「AIで書ける」。
人間の判断と体温が先にあって、AIが整理と記録を手伝う。
7.発信の量より、発信の深さへ
もうひとつ、変えることがある。
投稿数を減らす。
これまでは夕方から夜にかけて複数スロットに投稿していた。
でもデータと向き合ってわかったのは、量より時間帯のほうが大事だということだ。
朝07時台に1本強いものを置く。
図解かビジュアルを1枚セットにする。
夜は返信と交流に使う。
「毎日たくさん出す人」より「朝に読む価値を出せる人」を目指す。
読者は朝の学習モードで来ている。
その時間に、ちゃんと読む価値のあるものを置く。
それだけで、2ヶ月間の迷走と違う積み上げができると思っています。
8.この1週間でやること
今週は、その準備期間だ。
月曜と金曜に、この軸でまとまった文章を出す。
火〜木は、具体的なエピソード・失敗談・問いかけを1本ずつ出す。
「広く紹介する発信」から脱する宣言として、この1週間を使う。
途中経過も、土曜に正直に出す。
整いすぎたコンテンツより、試行錯誤が見えるコンテンツのほうが、人は集まると思っています。
おわりに
あなたの発信も、広がりすぎていると感じることはありますか。
「何でも出せる人」より、「これだけは語れる人」のほうが、長く信頼される。
私はここ2ヶ月で、それを実感しました。
うまくいかなかった経験のほうが、後から発信資産になることも多い。
完璧に整えてから出す必要はない。
試行錯誤の途中でも、止まった場所でも、それが言葉になれば誰かに届く。
むしろ、整いすぎていない言葉のほうが、届くことも多い。
今週は、そういう話を出します。
ぜひ、一緒に見ていてください。












組織のマネジメントや経営の現場でも同様で、あれもこれもとリソースを分散させるより、「自組織の強みは何か」に絞り込む勇気が持続可能な運営に繋がります。「バズより保存」「ボアリング戦略(地味だが実証済みの価値)」という選択は、まさに経営における選択と集中そのものです。流行りのツールに振り回されず、現場のリアルで泥臭い課題にリソースを集中させる方向性は、同じ医療介護のマネジメント層にとっても非常に解像度が高く、信頼を置けるベンチマークになると感じます。