劇団初のチェーホフ作品。湖畔の田舎屋敷を舞台に、作家志望の青年トレープレフと女優を夢見る乙女ニーナの関係を軸に、屋敷に集まる人々のさまざまな恋愛模様が描かれる。この群像劇を自己実現の病に苛まれた現代人の苦悩の姿と解釈し、「剥製たちのボードビル」として上演した。初演は2019年、劇団創立35周年記念公演。その後2023年にルーマニアのシビウ国際演劇祭に招聘され大きな話題となる。
1984年、早稲田大学演劇研究会を母体に「劇団 山の手事情社」を結成。以来、一貫して実験的な舞台を通して現代演劇のあるべき姿を模索している。1997年からは、戯曲を用いつつリアリズムをどう乗り越えるかという課題に取り組み、《四畳半》と呼ばれる新たな様式的演技スタイルを確立し、ギリシア悲劇やシェイクスピア、近松門左衛門など古今東西のテキストを上演。代表作は『タイタス・アンドロニカス』『道成寺』『テンペスト』など。
『リビング』とは単純に「生きている」という意味です。「あるがままの」「現代の」「生活」という意味もあります。日本語だと「リビングルーム」の略語としても使う、かなり意味の広い言葉です。実現したいのは、私たち人間のちっぽけで不合理な存在のしかたを俯瞰できるような舞台です。《ハイパー・コラージュ》手法を駆使して今までにも増した新鮮な空間に出会いたいと考えています。(安田雅弘)
(フライヤーより)西暦2500世紀の超未来、考古学者が空中からある化石を発掘する。それはその時代すでに姿を消していた「演劇」というものの化石であった。考古学者は「演劇」の復元を試みる。’89年初演の名作『ゆるやかなトンビリラロの身だしなみ』を題材にした新作。1つの舞台上に複数の演劇、ダンス、パフォーマンスが併存する独自のスタイル→《ハイパー・コラージュ》を用いて、「演劇」そのものを「演劇」にします
『デカメロン』は14世紀のペストの流行拡大を背景に書かれた。では現代、コロナの騒擾を抜けだしたら私たちは何を語りあうのか。舞台は避難所。疫病、戦争、災害――人々が何から逃れているのかははっきりしない。舞台上では『人類への提言』という鼎談がおこなわれている。そこに突然闖入してくる『デカメロン』の中の物語、あるいは脈絡のない言葉の朗読。場面と場面の行間から私たちを取り囲む「悪夢」が見えて来る。
早稲田大学演劇研究会の中の学生劇団として旗揚げた翌年、1985年の作品。本拠地である大隈講堂裏に工事現場用の足場と鉄パイプで作ったテント劇場での上演であった。いわゆる80年代の小劇場演劇ブームの中、俳優のパワーみなぎる身体と言葉で劇団の作風を確立した作品。時代の表層の明るさや疾走感を写しながらもその陰で失われていくもののさみしさまで見据えた劇団初期の名作である。
