心躍る初デート、私の気持ち
昼下がりの純粋デートに胸いっぱい。
こちらの作品は、
女性目線(著者・ちなみ)
男性目線(著者・しがない)
2作で楽しんでいただける作品となっています!
女性→男性の順番で読むことをオススメします
ぜひ、お楽しみ下さい☆
現在。
2026年6月10日 19:18
明日は、山下さんと初めてのデート。
彼とは、とある社交の場で知り合った。
何度も顔を合わせたこともあるし、
話したこともある。
お互い映画が好きで、
気づけば話は盛り上がって、
「今度一緒に行こうか」
そんな流れで決まった約束だった。
たったそれだけ。
何も始まったわけでもないし、
何か始まるかも分からないけれど。
私は、一週間前には美容室へ行き、
ネイルも新しくした。
完全に、浮かれている。
残るは、服だけ。
白のブラウスを体に当ててみる。
……優等生すぎるかな。
黒のワンピース。
……気合い入りすぎてる気がする。
デニム。
……頑張ってない感が出すぎて雑に見える。
結果、
ベッドの上には絶望的な服の山が完成した。
明日会うのは彼なのに。
なぜか戦っている相手は自分自身だった。
21:19。
ベッドへ入ろうとした時、スマホが震えた。
『明日は楽しみだね☺️』
彼からのLINEだった。
たったそれだけなのに、
なんだか少し嬉しい。
デートは明日で
まだ始まっていないのに。
もう既にデートが始まっているみたい。
この時間。
私だけじゃなくて
きっと世の女性はみんな好きなはず。
2026年6月11日 デート当日
目覚ましが鳴る前に、目が覚めた。
遠足前の小学生か? 私は。
そう思いながら、
一番最初にスマホを開く。
『おはよう☺️今日来る時、気をつけてね』
彼からのLINEだった。
こういう気遣いもしてくれるところも、
素敵だと思う。
鏡を見る。
今日の肌は絶好調。
まずは一安心。
シャワーを浴びて、準備を開始する。
髪は巻こうか?
でも、頑張ってる感は出したくない。
結果、
今日はストレートにすることにした。
お化粧も、ナチュラルに見えるように。
でも、手を抜いて見えないように。
下地も。
アイシャドウも。
ハイライトも。
全部少しずつ。
仕込めるところにはちゃんと仕込んでいく。
たぶん男の人は知らない。
女の子の「自然体で可愛い」は、
結構泥臭い努力の結晶でできている。
13:25
待ち合わせ場所に、5分前に到着した。
彼はもう既にいて、
私に気づいて、少し嬉しそうに手を振る。
その瞬間、胸の奥が少しだけ跳ねた。
でも顔には出さない。
…出ていないはず。
たぶん。
いや、出てないと思いたい。
私「ごめん、待った?」
山下さん「今来た」
……多分嘘だ。
でも、その嘘は嫌いじゃない。
優しいウソだから。
映画館へ向かう前に、
近くのカフェで軽くお茶をすることになった。
私は紅茶。
彼はブラックコーヒー。
窓から入る昼の光が柔らかい。
仕事の話。
最近観たドラマ。
好きな食べ物。
どうでもいい話。
そんな話をしながら、
とても心地いい時間が流れる。
なんだろう、この健全な感じ。
夜のデートも好きだけど、
明るい時間に会うデートには、安心感みたいなものがある。
15:35
映画館へ向かい、
ドリンクを買うために並んでいる。
ここまで、
ランチも、映画のチケット代も、
全部彼が払ってくれていた。
さすがに申し訳ない。
「ここは出させてもらってもいい?」
そう言って、返事を聞く前に支払いを済ませた。
こういう時って本当に難しい。
いわゆる、奢り奢られ論争。
別に私もお金に困っているわけじゃない。
でも、
男性を立てた方がいいのかなとか、
奢られて当たり前みたいな顔はしたくないなとか、
色々考えてしまう。
彼は笑って
「ありがとう」と言ってくれた。
その一言にホッと胸を撫で下ろす。
変に遠慮されるより、ずっと嬉しかった。
映画が始まって、隣に座る。
なんだか近い。
でも、絶対に触れない距離。
映画を観ているはずなのに、
ふと暗闇の中で、彼の横顔が気になる。
笑っている。
あ、真剣な顔をした。
同じシーンを見ている。
同じ空間にいる。
一緒に楽しんでくれている。
ただ、それだけで胸が暖かい。
映画が終わり、
「面白かったね」
そう言いながら、
彼が予約してくれているお店へ向かった。
高級すぎない、安すぎない。
ちょうどいいそんなお店だった。
きっと、
悩んで選んでくれたんだろうなと想像できて、嬉しくなる。
お互いに映画の感想を話す。
どこで感動したのか、
どこでどう思ったのか。
パズルを埋めるみたいに、
少しずつ相手を知っていく時間。
話は尽きない。
でも、私の頭の中は忙しい。
(今の返し変じゃなかったかな)
(笑いすぎたかな。話しすぎたかな)
(退屈してないかな。楽しいと思ってくれてるかな)
目の前で会話をしながら、
頭の中で別の反省会も同時開催している。
でも、そんな不安は、
彼の何気ない一言たちで消えていく。
「それで?どうだった?」
「続き、もっと聞きたい」
「俺も、そこが好きだった」
ただそれだけ。
ちゃんと私に興味を持ってくれている。
ちゃんと聞いてくれている。
それだけで嬉しい。
確実に、
また一歩、私たちの距離は近付いている。
気づけば、外はすっかり暗くなっていた。
店を出て、駅まで歩く時間。
少しだけ、口数が減った私たち。
二人で歩きながら、
人にぶつかりそうになると
そっと守ってくれるように肩をもってくれたり、
歩道側を歩いてくれたり、
そんな些細なことに
やたらとドキドキする。
改札が近づいてくる。
不思議だ。
今日一日、ずっと一緒にいたはずなのに。
(もう少しだけ、一緒にいたいな。)
なんて思っているから。
でも、そんなこと言えない。
彼がどう思っているか知りたい。
そんなことを思っていると駅についてしまった。
少しの沈黙の後、
私「今日はありがとう」
と私から声をかけた。
山下さん「こちらこそ」
私「じゃあ、また」
山下さん「……また」
彼が最後、
何か言いかけたような気がした。
でも、なんとなく聞けなかった。
駅のホームへ向かう。
電車を待つ時間。
今日一日を思い返している。
自然と口元が緩む。
ガタゴト揺れる電車。
窓に映る私は、
少しだけ幸せそうだった。
スマホを開いて、
今日のお礼言った方がいいよね。
なんて考えている。
なんて送ろうかな。
今日はありがとう。
楽しかった。
また会いたい。
……それは、ちょっと重いかな。
何度も画面を打ち直している、
その瞬間だった。
画面が震えて、
彼からの通知が滑り込んでくる。
『今日は楽しかった☺️』
『また、会ってくれる?』
ドクン、と心臓が跳ねる。
すぐに既読をつけてしまった焦りより先に、
胸の奥がじんわりと暖かくなる。
(私も、また会いたい。)
そう思いながら、
液晶を見つめる私の指先が、
ほんの少しだけ震えていた。
次は、どんな楽しいデートになるのだろうか。
楽しみで仕方がない。
つづく。
男性目線 著者 しがない
しがないこと、しーくんへ。
しーくんは、
私がまだフォロワーさん50人未満
購読者さんも10人未満の時に繋がって、
まだ迷走していた
私の文章を「面白い」そして「推し」と
言ってくれた初めての人。
そこから、今日まで変わらず応援して
くれていて、どんなに心強いか知ってる?
私の書く文書に、私色の文章に
最初に自信をつけてくれたのは
あなたで間違いありません。
これからも、お友達として
私の一人目のファンとしてよろしくね!
ちなみ公認の一人目のファンとして
隠れずに堂々と応援してくれたら嬉しいです。
そして、私もしーくんのファンだと
いうことも忘れないでほしい。
きっと、この作品は伝説作品になるね!笑
それもそれで、また面白いよね!笑
本当に、いつもありがとう。
ちなみ より



つづく!
つづくの!?
わくわくわくわく!!!!
面白かったです。
特に印象に残ったのは、「デートはまだ始まっていないのに、もう始まっているみたい」という感覚でした。
映画館でもレストランでもなく、その前後の時間のほうが案外記憶に残るんですよね。
「今来た」の優しい嘘にも少し笑いました。あれはたぶん、人類共通の文化です。