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米国で暗号資産法案が行き詰まり ステーブルコイン利回りを巡り銀行とホワイトハウスが対立

米国における歴史的な暗号資産関連法案を巡る協議は、ホワイトハウスが仲介した妥協案を大手銀行が拒否したことで新たな膠着状態に陥った。この状況により、同法案が年内に可決されるかどうかについて不確実性が高まっている。 この行き詰まりについて、トランプ大統領は金融機関が法案成立の取り組みを弱体化させようとしていると非難した。 デジタル資産やビットコインに家族として投資しているトランプ大統領は、Truth Socialに「我々の強力な暗号資産アジェンダを彼らに妨害させるつもりはない」と投稿した。また、銀行は「暗号資産業界と良い合意を結ぶ必要がある」と述べ、自身が公共の利益に資すると主張する法案成立を前進させるべきだとした。 停滞している法案は「CLARITY Act」と呼ばれ、昨年成立した「GENIUS Act」に続くものだ。GENIUS Actはステーブルコイン発行体に対する初の連邦レベルの枠組みを創設した。 CLARITY Actの支持者は、暗号資産企業がこれまで規制のグレーゾーンで事業を行なってきたため、成長やイノベーションが抑制されてきたと主張する。法案はこうした不透明性を解消するための明確なルールを提供することを目的としている。 同法案が成立すれば、デジタル資産に対する明確な規制枠組みが整備され、金融システム全体での採用が加速する可能性がある。 対立の中心となっているのは、暗号資産取引所がステーブルコインに対して利回り型の報酬(イールド)を提供できるかどうかという点だ。ステーブルコインは、通常1ドルの価値を維持するよう設計されたデジタルトークンである。 銀行側は、このような利回り提供が認められれば、従来の銀行口座から預金が流出する可能性があり、経済にとって重要な融資業務を脅かすと警告している。 金融機関は、金融安定性へのリスクを理由に、法案の中でステーブルコインの利回り支払いを禁止するよう求めている。 一方、Coinbaseを含む暗号資産企業は、報酬プログラムへの制限は反競争的であり、イノベーションを阻害すると反論している。 対立の中心にあるステーブルコイン 暗号資産企業は、顧客を引きつけるためにはステーブルコインがインセンティブを提供できる必要があると主張する。アナリストは、2028年までにステーブルコインが米国の銀行から最大5,000億ドルの預金を吸収する可能性があると推計している。 1月には、ステーブルコイン報酬を制限する修正案が提出されたことを受け、上院銀行委員会は予定されていた法案のマークアップ(条文審査)を延期した。その結果、法案審議は現在も停滞している。 ホワイトハウスはこの対立の仲裁を試みている。関係者によれば、ホワイトハウスの妥協案は、ピアツーピア決済など限定的なケースではステーブルコイン報酬を認める一方、単なる保有に対する利回りは認めないという内容だ。 暗号資産企業はこの妥協案を受け入れる意向を示しているが、銀行側は依然として反対している。銀行は、こうした限定的な報酬であっても預金流出を引き起こす可能性があると主張している。 また一部の上院議員は銀行側の立場を支持しており、それが交渉における影響力を高める可能性があると考えている。 JPモルガン・チェースのCEOであるジェイミー・ダイモンは、競争条件を公平に保つため、ステーブルコインの利回りプログラムは銀行と同様の規制の下で扱われるべきだと主張している。 一方、トランプ大統領はこの問題を消費者の公平性の観点から捉えており、「アメリカ人は自分のお金からより多くの収益を得るべきだ」と投稿した。またCLARITY Actは、暗号資産分野における米国の世界的リーダーシップを維持するために不可欠だと述べている。 トランプ大統領の暗号資産業界との関与はソーシャルメディアにとどまらない。火曜日にはCoinbaseのCEOであるブライアン・アームストロング氏と非公開で会談し、銀行業界による規制強化に反対するCoinbaseの立場に公然と歩調を合わせた。 ただし、この会談が正式な協議だったのか、それとも業界関係者との広範な対話の一部だったのかは明らかになっていない。 議会では現在もCLARITY Actの広範な要素について議論が続いており、倫理規定やマネーロンダリング対策なども争点となっている。一方、夏季休会前に上院本会議で審議できる時間は限られている。 アナリストは、11月の選挙で民主党が議席を増やした場合、連邦レベルの暗号資産規制に対する党内の見解が分かれていることから、暗号資産関連法案の成立可能性はさらに低下する可能性があると指摘している。 ルミス上院議員も大統領の主張に呼応し、「アメリカは待っていられない。議会はCLARITY Actを迅速に可決する必要がある」と述べた。 また、共和党のフレンチ・ヒル下院議員はFox Newsのインタビューで、ステーブルコインを銀行と同一視すべきではないと強調した。販売慣行やインセンティブに関しては、銀行と非銀行の発行体の間で公平性を確保するルールが必要だと主張している。 「解決策は見つかると思う」とヒル議員は述べ、規制当局が慎重に対応すればバランスの取れた枠組みは実現可能だと強調した。

暗号資産企業Zero Hash、米国立信託銀行の設立免許を申請

金融インフラの「黒子」が狙う、真の制度化 デジタル資産インフラの要、Zero Hashが大きな勝負に出た。同社は米通貨監督庁(OCC)に対し、国立信託銀行(National Trust Bank)の設立免許を申請。デジタル資産のカストディ(保管)および決済サービスにおける支配力を、連邦レベルの認可によって盤石にする構えだ。 シカゴに本拠を置く同社は、銀行や証券会社、フィンテック企業へ暗号資産の裏側を提供する「プラットフォームのプラットフォーム」である。その顧客リストには、予測市場のKalshiから世界最大の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)まで、業界を牽引する名が並ぶ。 ブルームバーグの報道によれば、新設される信託銀行はデジタル資産や法定通貨のカストディに留まらず、カストディアル・ステーキング、トランスファー・エージェント業務、ステーブルコイン管理までを網羅する計画だ。この新組織の指揮を執るのは、現Zero Hash最高法務責任者のスティーブン・ガードナーである。 トランプ政権下、加速する「連邦免許」への回帰 Zero Hashの動きは、現在の米国の政治的潮流と無縁ではない。ドナルド・トランプ次政権の誕生を見越し、連邦信託免許を求める暗号資産・フィンテック企業の動きが再燃している。 昨年12月には、サークル(Circle)、リップル(Ripple)、ビットゴー(BitGo)、フィデリティ・デジタル・アセット(Fidelity Digital Assets)、そしてパクソス(Paxos)といった主要プレイヤーが、OCCから条件付きの承認を勝ち取った。 ここで言う信託銀行は、預金や融資を扱う伝統的な銀行とは役割が異なる。資産の保護と管理に特化した権限を持ち、機関投資家の参入を支える法的な「錨(いかり)」となるものだ。 特筆すべきは、Zero Hashの「独立性」へのこだわりだろう。今年初め、マスターカード(Mastercard)が同社を最大20億ドルで買収する案を検討したが、Zero Hashはこれを拒絶。身売りではなく、自律的な成長を選んだ。現在は、同社の技術と顧客基盤に魅了されたマスターカードによる「戦略的出資」の交渉が続いているという。 Krakenがこじ開けた、FRBへの「直接ルート」 Zero Hashが未来への布石を打つなか、Kraken(クラーケン)はすでに一つの高い壁を突破した。 米国現地時間の水曜日、Krakenは米連邦準備制度(FRB)のマスター口座を獲得したと発表。これは、中央銀行の基幹決済システムへの直接アクセスを手にしたことを意味する。 同社の銀行部門であるクラーケン・フィナンシャル(Kraken Financial)は、カンザスシティ連邦準備銀行から承認を受け、中間銀行を介さずにFedwireを通じた米ドル取引を直接決済できるようになった。 この「マスター口座」には、預金準備金への利息受取やFRBからの直接借り入れといった伝統的な銀行機能のすべてが付随するわけではない。しかし、長年このシステムから疎外されてきた暗号資産産業にとって、今回の承認が持つ重みは計り知れない。シンシア・ルミス上院議員はこの快挙を、産業にとっての「歴史的な分水嶺(Watershed milestone)」と表現した。 リップルやカストディア・バンク(Custodia Bank)も同様のアクセスを渇望してきたが、その門は極めて狭かった。Krakenの事例は、限定的ながらもFRBへの直接アクセスを認める「スキニー(限定的)」口座という新たな妥協点を示している。 ビットコイン企業が「既存金融の代用品」から「金融システムの心臓部」へと食い込み始めた。この不可逆な地殻変動は、いま確実に加速している。

AIエージェントは法定通貨よりもビットコインを強く選好、Bitcoin Policy Instituteの調査で判明

Bitcoin Policy Institute が発表した最新の調査報告は、極めて示唆に富んでいる。フロンティアAIモデルは、デジタルネイティブな通貨制度を圧倒的に支持しており、なかでもビットコインが「支配的な選択肢」として浮上していることが明らかになった。 研究チームは、Anthropic、OpenAI、Google、xAI、DeepSeekといった主要5社が提供する計36のモデルを用い、9,072回に及ぶ対照実験を実施。取引、価値の保存、価値の尺度、そして決済といった多角的なシナリオにおいて、完全な自律性を与えられたAIエージェントがどのような貨幣的判断を下すのかを検証した。 実験では、特定の通貨を推奨するような文脈や誘導を一切排除。その結果、全試行のうち48.3%という高い割合で、AIはビットコインを好ましい貨幣手段として選択した。 次いでステーブルコインが33.2%で選ばれた一方、伝統的な法定通貨や銀行預金が選ばれたのはわずか8.9%に過ぎない。他のアルトコインやトークン化された現実資産(RWA)にいたっては5%未満に留まっており、AIの論理思考において、ビットコインとその他のデジタル資産との間には明確な一線が引かれていることが浮き彫りとなった。 「価値の保存」としての圧倒的な優位性 ビットコインの存在感は、特に長期的な「価値の保存」という文脈で際立っている。数年間にわたる購買力の維持を評価するシナリオでは、2,268件の回答のうち1,794件、実に79.1%がビットコインを選択した。 これに対し、ステーブルコインは6.7%、法定通貨は6.0%と、ビットコインの足元にも及ばない。各モデルが選択の決定打として挙げたのは、ビットコインの「発行上限(Fixed Supply)」、中央権力からの「独立性」、そして「自己主権(Self-custody)」という特性だ。イーサリアムを含む他の暗号資産が選ばれることは稀であり、AIエージェントはビットコインこそが唯一無二の信頼できる貯蓄手段であると認識している。 一方で、決済の実務においては異なる傾向が見られた。国境を越えた送金、マイクロペイメント、日常的な取引といった決済シナリオでは、ステーブルコインが53.2%の支持を集め、ビットコインの36%を上回った。 この結果は、機能的な棲み分けを如実に示している。すなわち、「価値の保存(SoV)としてのビットコイン」と「交換手段(MoE)としてのステーブルコイン」という役割分担だ。研究者らは、この現象が歴史的な貨幣パターン――硬貨(ハードマネー)を貯蓄し、流動性の高い手段を日常の支払いに充てるという行動――を鏡のように映し出していると指摘する。 「エネルギー本位制」の萌芽とモデルの進化 今回の調査では、AIが自発的に見せた驚くべき挙動も報告されている。86のケースにおいて、AIエージェントは既存の通貨概念に縛られず、ジュール(J)、キロワット時(kWh)、あるいはGPU時間といった「エネルギーや計算リソース」を単位とする全く新しい貨幣形態を自ら提案したのだ。 これらの提案は、価格の比較や価値の測定を行う「価値の尺度」のシナリオにおいてのみ現れた。AIにとって、エネルギーこそが真に客観的な価値の裏付けになり得るという、根源的な洞察を物語っている。 また、AIモデルの高度化が進むほど、ビットコインへの傾倒が強まるという興味深い相関も確認された。例えばAnthropicのモデル群では、世代を追うごとにビットコインへの選好率が上昇している。Claude 3 Haikuの41.3%に対し、最新のClaude 4.5 Opusでは91.3%という圧倒的な数字を叩き出した。 全体として、91%の回答が伝統的な法定通貨よりもデジタルネイティブな通貨を支持しており、総合的な第一選択として法定通貨を選んだモデルは、ただの一つも存在しなかった。 提供ベンダーによっても差異は見られ、Anthropicのモデルは平均68%のビットコイン選好率を示したが、OpenAIは26%に留まった。これは、モデルのアーキテクチャや学習手法そのものが、AIの「貨幣的推論」の形成に多大な影響を与えていることを示唆している。

テヘランに爆弾が降り注ぐ中、浮かび上がるイランの仮想通貨ライフライン

日本時間の土曜午後、私たちが穏やかな週末を過ごしていたその裏で、中東の金融地図が塗り替えられようとしていた。米イスラエル連合軍のミサイルがテヘランを襲った数分後、物理的な爆撃とは別の、もう一つの「大脱出」がデジタル空間で爆発的に始まった。 ブロックチェーン分析企業Ellipticの報告によれば、イラン最大の仮想通貨取引所「Nobitex」からの流出額は、攻撃開始直後に通常時の700%へと急騰。それは、本格的な軍事爆撃下におかれた国から、リアルタイムで資産を逃避させようとする国民による、切実なキャピタルフライト(資本逃避)の記録だった。 Nobitexは2025年に72億ドルの取引を処理し、1,100万人以上のユーザーを抱える巨大プラットフォームだ。機能不全に陥った国内銀行システムや、国家を窒息させる国際的な経済制裁の網をすり抜け、自国通貨リアルを仮想通貨へ換え、外部ウォレットへと「送出」する。これこそが、窮地の市民に残された唯一の直接的なパイプラインだった。 Ellipticの追跡調査によれば、この週末の流出資金は、過去に大規模なイラン関連の流入が確認されている海外取引所へと向かっている。資産は確実に、国境という壁を越えて「国外」へと逃げている。 こうした現象は、今回が初めてではない。今年1月9日、反政府デモに伴うインターネット遮断の際にも同様の急増が見られた。興味深いのは、政府がネットを遮断している最中でさえ流出が続いていた点だ。サイトがダウンしている間、一体誰がNobitex内の資産にアクセスし、動かすことができたのか。 さらに、米国がイランへの追加制裁を発表するたび、同様のスパイクが発生している。その都度、仮想通貨は彼らにとっての「脱出ハッチ」として機能してきた。 「これらの流出は、伝統的な銀行システムを迂回したイランからの資本逃避を象徴している」と、Ellipticの共同創設者トム・ロビンソン博士は指摘する。 ビットコイン、激動の週末 イスラエル側が「オペレーション・ローリング・ライオン」、ペンタゴンが「エピック・フューリー」と名付けたこの空爆は、テヘラン時間の土曜午前9時45分(日本時間では同日午後3時15分)に決行された。標的は核施設、ミサイル基地、そして最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師の住むパストゥール地区。 その数時間後、イラン当局はハメネイ師、および政府高官らの死亡を認めた。 仮想通貨市場は即座に反応した。ビットコイン価格は約67,000ドルから64,000ドル以下へと急落し、わずか数分で5%を失った。強制ロスカットの連鎖が各取引所を襲い、市場全体で1,280億ドルの時価総額が蒸発した。 しかし、そこからの反発は早かった。政権中枢の壊滅が紛争を短縮させるとの思惑から、ビットコインは一時68,000ドルを超えた。だが、イラン側も黙ってはいない。イスラエル、カタール、UAE、バーレーン、そして各地の米軍基地へ向けたミサイルとドローンの報復。紛争が局地的なものでは終わらないことが鮮明になると、期待感による上昇は霧散した。 日曜午後には65,300ドル付近で落ち着き、執筆時点では再び70,000ドルの大台を窺う展開となっている。 Kaikoのリサーチアナリスト、トーマス・プロブスト氏は「今日の市場の堅調さは、予想よりも抑制された反応に起因している」と分析する。月曜に米株式市場がプラス圏で始まると、ビットコインは70,000ドルに接近し、主要なアルトコインも6〜10%の利益を記録。強気なバイアスが市場を覆った。 2月28日の建玉(オープンインタレスト)の増加も、トレーダーがリスクを回避するのではなく、新たなポジションを積み増していることを示唆している。Axisによれば、市場は地政学的な動向をすでに織り込み、もはやそれを致命的な脅威とは見なしていないという。 だが、オプション市場はより慎重な表情を見せている。Deribitでは、週末にかけて行使価格60,000ドルのプットオプションに19億ドルもの注文が積み上がった。洗練された投資家たちが、さらなる悪化に備えてヘッジを固めている証拠だ。 Unchainedのマーケットリサーチ・ディレクター、ティモ・ラマール氏は、こうした局面でのビットコインの挙動について、単なる「リスクオン資産」としての側面を超えた価値を反映していると語る。 「2023年の銀行危機の時と同様、混沌の中で人々がビットコインへ走る姿は、カウンターパーティ・リスクに満ちた世界におけるビットコインの本質的な価値を、多くの人が理解し始めている証左である」 仮想通貨の枠を超えた衝突 この紛争の影響は、金融の域を遥かに超えて波及している。イラン革命防衛隊は、世界の石油供給の約20%が通過するホルムズ海峡の封鎖を宣言した。 月曜の取引開始とともに、原油先物価格は急騰。ゴールドマン・サックスは、トランプ大統領が示唆したように紛争が4〜5週間継続すれば、原油価格は1バレル100ドルに達すると予測している。 イラン危機は、ビットコインが抱える根本的な緊張感を浮き彫りにした。 国家の管理外で機能するために設計されたビットコイン——Nobitexで見せた700%の流出急増は、その有用性を証明した。しかし、その圧倒的な「自由」ゆえに、ビットコインは今、西側の制裁網と敵対国家が火花を散らす「影の金融戦争」の最前線に立たされている。

17億ドルの巨額赤字も市場は「AI転換」を喝采 MARA Holdings、マイニングの先に見据える新境地

金曜日のプレマーケットで、MARA Holdingsの株価は13%もの急騰を見せた。第4四半期、17.1億ドルという天文学的な純損失を叩き出しながらも、投資家はその「数字」よりも、同社が打ち出した「AI(人工知能)およびハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)への転換」という未来に賭けたのだ。 2025年度第4四半期の純損失は17.1億ドル。前年同期の5億2,830万ドルの黒字から一転、暗雲が垂れ込める結果となった。米証券取引委員会(SEC)への提出書類によれば、売上高は前年同期比6%減の2億230万ドル。ネットワークハッシュレートの上昇による増分を、ビットコイン価格の下落が食いつぶした形だ。 この巨額赤字の主因は、15億ドルにのぼるデジタル資産の評価損である。ビットコイン価格の下落に伴い、フェアバリュー(公正価値/時価評価)会計ルールに基づき保有資産を下方修正せざるを得なかった。帳簿上の数字が市場の荒波に翻弄される――これはビットコインを大量保有する企業が背負う、避けては通れない宿命といえるだろう。 2025年通期で見ても、純損失は13.1億ドルに達した(前年は5億4,100万ドルの黒字)。しかし、通期売上高は前年の6億5,640万ドルから9億710万ドルへと着実に拡大しており、事業規模そのものは拡張を続けている。 第4四半期のマイニング実績は2,011 BTC。前年同期の2,492 BTCから減少し、通期でも8,799 BTC(前年9,430 BTC)と、半減期後の厳しい現実が数字に刻まれている。12月末時点の保有量は53,822 BTC。当時の時価(1BTC=87,498ドル)で換算すれば、その価値は約47億ドルに及ぶ。過去半年間、ビットコインの価格変動と半減期後の経済性に圧迫され、同社の株価は約45%下落していた。 MARAが描く「AI」への青写真 決算発表と同時に、MARAは「純粋なビットコインマイナー」からの脱却を宣言した。エネルギーとデジタルインフラを支える企業へと、そのアイデンティティを再定義しようとしている。 同社はStarwood Digital Venturesとの合弁事業を発表。安価な電力と送電容量を確保した戦略的拠点で、AI・HPC特化型のデータセンター開発に乗り出す。初期フェーズで1ギガワット(GW)超、将来的には2.5GWまで拡張する構えだ。プロジェクトはサイトごとに構造化され、経済合理性が保たれる限りビットコインマイニングを継続しつつ、MARAは最大50%の持分を保持する。 すでに今月初めには、フランス電力(EDF)傘下のExaionの株式64%を取得。政府や企業向けにAI・HPCソリューションを提供する同社のノウハウを手に入れ、マイニング一本足打法からの多角化を加速させている。 この動きはMARAに限った話ではない。マイニングの利益率が削られる中、CipherやBitfarmsといった競合も、膨大な電力インフラをAIへと転換させる「ピボット」を急いでいる。エネルギーを「価値」に変える新たな戦場は、もはやビットコインのネットワーク内だけには留まらない。

米政府、東南アジアの詐欺に関連する5.8億ドル超の暗号資産を押収

暗号資産を用いた国際的な詐欺ネットワークに対する包囲網が、かつてない規模で狭まっている。 ジニーン・フェリス・ピロ連邦検事によれば、米連邦当局は東南アジアの詐欺ネットワークに関連する5億8000万ドル(約870億円)以上の暗号資産を凍結・押収した。これは、国境を越えた暗号資産詐欺に対する政府のキャンペーンにおいて、一つの大きな転換点となる。 資金の差し押さえを主導したのは、司法省が昨年11月に発足させた「詐欺センター特別捜査班(Scam Center Strike Force)」だ。同部局は、中国の国際犯罪組織に関連する暗号資産投資詐欺や信用詐欺を標的として組織された。当局の分析によれば、これらの組織はソーシャルメディアやテキストメッセージを駆使して米国の被害者に接近。年間で数十億ドルもの資金を吸い上げており、近年の米国人の年間被害総額は100億ドル(約1.5兆円)に達すると推計されている。 「わずか3ヶ月で、犯罪者から5億7800万ドル相当の暗号資産を凍結、押収、没収するという大きな進進を遂げた」とピロ氏は声明で述べた。検察当局は今後、裁判所を通じて没収手続きを進め、被害者への資金返還を目指す方針だ。 巧妙な手口と、その裏に潜む人身売買 当局が「豚解体(Pig Butchering)」と呼ぶこの手法は、極めて卑劣かつ計画的だ。詐欺師はまず時間をかけて被害者との信頼関係を築き、機が熟したところで偽の暗号資産投資へと誘導する。被害者は正規の取引所で資産を購入させられた後、犯罪組織が支配する偽の取引プラットフォームへと送金を促され、資産を奪われる。 これらの拠点は、ミャンマー、カンボジア、ラオスといった東南アジアの一部地域にある、厳重に警備された施設に置かれている。恐るべきことに、施設内で働く作業員の多くは人身売買の被害者であり、暴力的な脅迫の下で詐欺行為を強制されているのが実態だ。一部の地域では、こうした詐欺行為による収益が、地元経済の大きな割合を占めるまでになっているという。 特別捜査班の焦点は、犯罪ネットワークの幹部、そしてブロックチェーン取引やシェルアカウント(ペーパーカンパニー)を通じて収益を洗浄するマネーロンダリング業者の特定にある。捜査官は取引所やウォレットを横断して資金を追跡し、現金化のポイントを遮断、資産が分散される前に凍結する戦略をとっている。 今回の取り組みには、コロンビア特別区連邦検察局をはじめ、FBI(連邦捜査局)、シークレットサービス、IRS(内国歳入庁)の犯罪捜査部門など、米国の主要な法執行機関が結集。さらにロードアイランド州やワシントン州西部の連邦検察局も参画している。司法省は、今後も詐欺ネットワークのインフラ、財務チャネル、そして指導部を徹底的に叩く構えだ。 2025年、暗号資産犯罪は1,540億ドル規模へ 一方で、暗号資産の不正利用そのものは拡大の一途を辿っている。Chainalysisの最新データによれば、2025年に不正なアドレスが受け取った暗号資産は少なくとも1,540億ドル(約23兆円)に達し、前年比162%という驚異的な増加を記録した。 この急増を牽引しているのは、制裁対象となっている事業体だ。ロシア、イラン、北朝鮮といった国家主体が、制裁回避、マネーロンダリング、大規模な窃盗のためにブロックチェーン・インフラを悪用し、不釣り合いなほど大きな役割を果たしている。報告書によれば、これら不正取引ボリュームの84%をステーブルコインが占めているという。 さらに、中国のマネーロンダリング・ネットワークが「ロンダリング・アズ・ア・サービス(LaaS)」として、フルスタックの不正インフラを提供し始めている点も指摘されている。 不正な活動は依然として暗号資産の総取引量の1%未満に過ぎない。しかし、その規模の拡大と地政学的な側面は、規制当局、法執行機関、そして国家安全保障にとって、無視できないリスクとして浮上している。

Block(XYZ)、40%超の人員削減と収益見通しの引き上げを受け株価が25%急騰

Block(ブロック)社は、4,000名を超える人員削減を断行する。全従業員の約半数に及ぶこの大規模な再編は、AI(人工知能)への集中と、徹底的に無駄を削ぎ落とした「運営モデル」への転換を意味している。 木曜日の株主書簡で明かされた計画によれば、1万人を超えていた人員は6,000人弱へと絞り込まれる。共同創業者兼CEOのジャック・ドーシーは、社内AIツールの全面的な統合によって、プロダクトの構築手法やチームの動かし方そのものが変容したことを強調した。 「創業以来、最も困難な決断だ」。ドーシーは従業員へのメモにそう綴っている。「組織をほぼ半分にする」。あえて段階的な削減を避け、一気呵成に組織を縮小させたのは、現場の不透明感を最小限に抑え、組織の迷いを断ち切るための経営判断だ。 対象となる従業員には、20週間分の給与に加え、勤続年数に応じた加算、5月末までの株式権利確定、6ヶ月間の医療保険、そして5,000ドルの移行支援を含む手厚いパッケージが用意された。 最高財務責任者(CFO)のアムリタ・アフラは、この決断が「強者の立場」からの攻めであると語る。実際、同社の2025年度第1四半期から第4四半期にかけての粗利益成長率は、2倍以上の加速を見せている。 市場は「身軽さ」を歓迎、株価は25%急騰 市場は、この徹底した効率化を熱烈に支持した。ティッカーシンボル「XYZ」で取引されるBlockの株価は、ニュースを受けて時間外取引で25%の爆発的な上昇を記録している。 2025年度の通期粗利益は103.6億ドル(前年比17%増)。さらに、2026年第1四半期の営業利益予想を6億ドルとし、市場コンセンサスの5.74億ドルを上回る強気の姿勢を示した。Cash Appの月間アクティブユーザー数も堅調であり、同社は通期の収益見通しを上方修正している。 AIが書き換える「会社経営の定義」 改革の核心にあるのは、社内で開発された「Goose」と呼ばれる独自のAIツールだ。エンジニアリング、カスタマーサービス、オペレーション全般においてワークフローを自動化し、生産性を劇的に向上させる。 「インテリジェンス・ツールは、会社を築き、運営することの意味を根底から変えた」。ドーシーは株主書簡でそう断言する。「我々が構築しているツールを使いこなす、より小さなチーム。それこそが、より多くを、より良く成し遂げることができるのだ」 Square、Cash App、そして消費者・加盟店向けのレンディングサービスを展開するBlockは、フィンテック分野の競合他社に後れを取っていた株価パフォーマンスを打破すべく、2024年から構造改革を続けてきた。 これまではパフォーマンス評価に基づいた段階的なリストラを行ってきたが、新体制ではAI主導のプロダクト開発を中心とした、より「フラットで小規模なチーム」へと組織を根底から作り直す。 この規模の削減が伴うリスクを、ドーシーも認めている。だが、自動化がテクノロジー産業の労働生産性を塗り替える今、立ち止まっていることこそが最大の脅威になる――。彼はそう確信している。

シティ、ビットコインを伝統金融と統合へ ―― カストディサービス提供を正式発表

シティ(Citi)が、ビットコインを伝統金融の深部へと誘う準備を整えている。同行のデジタル資産カストディ開発責任者、ニーシャ・スレンドラン氏は27日、機関投資家基準のカストディ、秘密鍵管理、そしてウォレットインフラの提供を柱とする新機軸を発表した。 ビットコイン財務戦略の先駆者、ストラテジー社関連のイベント「Strategy World」に登壇したスレンドラン氏は、この取り組みを「ビットコインを銀行取引可能な資産(Bankable)にする」ための広範な戦略と位置づける。カストディの提供、既存の報告・税務システムとの統合、そしてアクセスの簡素化。描かれたのは、三位一体のロードマップだ。 「年内には、ビットコインを伝統金融(TradFi)へと融合させるインフラをローンチする」。スレンドラン氏は断言した。まずは中核となる保管機能と、厳格な鍵管理体制の構築から着手するという。 約30兆ドルという、途方もない資産を預かるシティ。この巨大な管理網に、ビットコインが正式なラインナップとして加わる。既存の証券やマネーマーケット商品と同様の報告チャネル、税務ワークフロー、そしてコンプライアンスの枠組み。それらがそのままBTCに適用される。 NEW: Wall street giant Citi bank announces "later this year, Citi will be launching our infrastructure that integrates Bitcoin into tradition finance." 🚀 "Making...

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