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  • 赤毛のアン論 八つの扉 (文春新書)

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赤毛のアン論 八つの扉 (文春新書)

5つ星のうち4.8 (48)

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モンゴメリ生誕150年記念出版!

世界でこよなく愛され、大人の文学として再評価されるアン・ シリーズ。
少女時代の『赤毛のアン』から、アンの息子三人が第一次大戦に出征する第八巻『アンの娘リラ』までの五十年をこえるアンの人生と、カナダの激動の時代を描いた大河小説。その魅力を、昨年完結した日本初の全文訳『赤毛のアン』シリーズ(文春文庫)を手がけ、話題を呼んだ著者が、八つの観点から解説する最新の「赤毛のアン論」。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◎目次
はじめに
一の扉 エピグラフと献辞
二の扉 英文学
三の扉 スコットランド民族
四の扉 ケルトと「アーサー王伝説」
五の扉 キリスト教
六の扉 プリンス・エドワード島の歴史
七の扉 カナダの政治
八の扉 翻訳とモンゴメリ学会
おわりに
主要参考文献
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

保守党と自由党の二大政党が対立するカナダで保守党支持のマシューとマリラに育てられたアンは、女性に初めて投票が認められる画期的な歴史に直面する。アンはその時代をどう見つめたのか? 知られざる政治文学としての一側面。
また、シェイクスピア劇などの英文学を小説中に多数引用したモンゴメリの凝った仕掛け、アン・シリーズ各巻に登場する「アーサー王伝説」と円卓の騎士のロマンの輝き、ケルト文化とキリスト教の融合としての物語の魅力、愛すべき登場人物たちの民族、シリーズに描かれるカナダの歴史などを丁寧に謎ときしながら、『赤毛のアン』シリーズをこれから読む人には充実した手引きとして、再読する人には驚きと感動に満ちた一冊。
プリンス・エドワード島などの写真・図版・地図80点収載の決定版!

●著者紹介 松本侑子(まつもとゆうこ)作家・翻訳家。
著書に、『巨食症の明けない夜明け』(すばる文学賞)、『恋の蛍 山崎富栄と太宰治』(新田次郎文学賞)、『赤毛のアンのプリンス・エドワード島紀行』(全国学校図書館協議会選定図書)、『英語で楽しむ赤毛のアン』、詩人金子みすゞの詩を読解した『金子みすゞと詩の王国』(文春文庫)、みすゞの伝記小説『みすゞと雅輔』など多数。訳書に、日本初の全文訳・英文学からの引用などを解説した訳註付『赤毛のアン』シリーズ全八巻(文春文庫)など。

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出版社より

『赤毛のアン論』について

モンゴメリ生誕150年記念出版!

『赤毛のアン論 八つの扉』収録の写真より

『赤毛のアン論 八つの扉』収録の写真より

本初収録の写真②

赤毛のアン論

本書の「はじめに」より

はじめに
赤毛のアン論 八つの扉

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 文藝春秋
  • 発売日 ‏ : ‎ 2024/11/20
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 本の長さ ‏ : ‎ 288ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4166614754
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4166614752
  • 商品の重量 ‏ : ‎ 190 g
  • 寸法 ‏ : ‎ 11 x 1.3 x 17.3 cm
  • Amazon 売れ筋ランキング: 本 - 170,442位 (本の売れ筋ランキングを見る)
  • カスタマーレビュー:
    5つ星のうち4.8 (48)

著者について

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松本 侑子
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※著者プロフィール

松本侑子(まつもと・ゆうこ)作家・『赤毛のアン』翻訳家・研究者。

島根県出雲市生まれ、筑波大学社会学類卒、政治学専攻。

最新刊『なぞとき赤毛のアン』文春文庫、2025年5月8日発売。

1987年、『巨食症の明けない夜明け』(集英社文庫)で、すばる文学賞を受賞して作家デビュー。

2010年、評伝小説『恋の蛍 山崎富栄と太宰治』(光文社文庫)で、新田次郎文学賞を受賞。

著書に、詩人金子みすゞの小説『みすゞと雅輔』(新潮社)、みすゞの詩の解説書『金子みすゞと詩の王国』(文春文庫)、幕末維新小説『島燃ゆ 隠岐騒動』(光文社文庫)など多数。

訳書に、シェイクスピア劇やアーサー王伝説などの英文学と聖書からの引用を解明した日本初の全文訳・訳註付『赤毛のアン』シリーズ全8巻(文春文庫)。ビジュアル特別版『赤毛のアン』世界文化社。

『アン』解説書は、『赤毛のアン論 八つの扉』(文春新書)、『英語で楽しむ赤毛のアン』(ジャパンタイムズ出版)、『赤毛のアンのプリンス・エドワード島紀行』(JTBパブリッシング)など。

毎年、『赤毛のアン』シリーズの舞台と著者モンゴメリの生涯の地を旅するカナダ東海岸ツアーの企画・同行解説を手がけ、プリンス・エドワード島渡航は30回。全国から約700人が参加。2025年は8月と9月にも『赤毛のアン』ツアーを実施。

2022年より、カナダのモンゴメリ学会で研究発表と論文執筆を行っている。

カスタマーレビュー

星5つ中4.8つ
48グローバルレーティング
『赤毛のアン』シリーズは児童書ではなかった
星5つ中5つ
『赤毛のアン』シリーズは児童書ではなかった
私は老年男子であるが、ルーシー・モード・モンゴメリの『赤毛のアン』シリーズの熱烈なファンです。新潮文庫版の村岡花子訳「赤毛のアン・シリーズ」10巻を一気に読み終え、現在も、書斎の書棚から取り出しては気に入っている箇所を拾い読みしています。 シリーズを俯瞰してみましょう。『赤毛のアン』のアンは、カナダのプリンス・エドワード島の美しい自然に恵まれた村で、マシュウとマリラの愛情に包まれ、友情を大切にしながら、学校生活を楽しみます。さまざまな失敗を重ねながら、魅力的な少女に成長していきます。続編の『アンの青春』では、少女から女性へと変身していくアンの多感な日々が展開されます。続く『アンの愛情』はアンの大学生活と恋がテーマです。次の『アンの幸福』ではアンの婚約時代が綴られ、アンは身近な女性から「『あたしはきょうはどんなうれしいことを発見するかしら?』――これがあなたの生活態度に思えるわ、アン」と羨ましがられます。さらに『アンの夢の家』ではアンの新婚生活が、『炉辺荘(イングルサイド)のアン』では6人の子育てに奮闘するアンが、『アンの娘リラ』では、第一次世界大戦で息子を失う母親アンの悲しみが描かれます。この他に、『アンの友達』、『アンをめぐる人々』、『虹の谷のアン』が含まれています。 今回、手にした『赤毛のアン論――八つの扉』(松本侑子著、文春新書)には驚くべきことが書かれています。 ●その1つは、『赤毛のアン』シリーズは児童書ではないという指摘です。 モンゴメリの原書の「文体と語彙から、子どもむけに書かれていないことは一目瞭然です」と断言しています。 著者・松本侑子の愛するアンとモンゴメリの研究は「初めて村岡花子訳『赤毛のアン』を読み、こんなに面白い小説が世の中にあったのかと昂奮の面持ちで目をあげ、明るい日ざしに光り輝く不思議なもやを見たあの14歳の秋の日に始まったのです」。 「村岡花子訳は1950年代に求められる上質な翻訳」だが、村岡訳が抄訳であり、改変も多いことから、「凝った文章を書く小説家モンゴメリも正確な全文訳を望むだろうと思い」、『赤毛のアン』シリーズの日本初の全文訳(文春文庫版の全8巻)を完成させたと述べています。 なお、「村岡花子訳『アン』で聖書由来の言葉が省かれている理由も、日本にはキリスト教徒が少ないため」だろうと、村岡に配慮を示しています。 ●もう1つは、『赤毛のアン』シリーズはキリスト教文学だという指摘です。 牧師夫人であるモンゴメリによって書かれたキリスト教文学だというのです。 モンゴメリの夫ユーアン・マクドナルドが、1935年に精神的な病気のために牧師を引退したので、モンゴメリも牧師夫人の責務から解放されます。 「モンゴメリは、幼いころより信心深い祖父母と長老派教会へ通い、結婚後は、牧師夫人として教会で働き、信仰生活を送りながら22冊の小説と1冊の詩集を発行し、約500件の短編を雑誌に発表しました。長老派教会の信仰とともに育ち、暮らし、祈り、書き続け、夢と希望に満ちた文学的な作品が多くの人々に愛された人生でした」。 本書のおかげで、筆名がL・M・モンゴメリ、本名がルーシー・モード・モンゴメリだということを知ることができました。 著者に聞きたいことが一つあります。モンゴメリの夫については、「自分が道徳や宗教の罪をおかしているために天国に行けないと悩む宗教的憂鬱について(モンゴメリの夫ユーアンは、この不安症から鬱病になり、医師にかかっていました)」と記していますね。一方、モンゴメリの死因は冠状動脈血栓症とされてきたが、真相は深刻な神経衰弱による服毒自殺だったことが2008年9月に公表された事実に触れていないのは、なぜでしょうか? 牧師のユーアンにとっても、牧師夫人のモンゴメリにとっても、キリスト教の信仰が魂の救いになり得なかったことは残念の極みです。
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日本からのトップレビュー

  • 星5つ中5つ
    アンがもっと面白くなる本
    2026年3月12日に日本でレビュー済み
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    文春文庫のアンシリーズの素晴らしい注釈と全訳で子供の頃から好きだったアンがもっと大好きになったので、その翻訳者の解説本なら絶対面白いだろうと確信して読んだところこんなに深いんだとさらにアンの世界が面白くなって読み返しているところです。

    またあの膨大な注釈が世界でも比類ないものと知り、こんな熱心な翻訳者のアンを日本語で手にできる幸せを噛み締めました。

    絶対おすすめできる本

    3人のユーザーが役に立ったと感じています
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  • 星5つ中5つ
    「赤毛のアン」研究の一端、松本侑子さんは単なる翻訳家にあらず
    2025年7月3日に日本でレビュー済み
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    「文春文庫」全8巻に亘って「赤毛のアン」を全訳した著者による、「赤毛のアン」研究の総まとめ。

    全8巻を読んだ人でないと、なかなか理解するのは難しいかもしれません。

    全8巻に亘って流れる底流を著者は次のように8つのテーマに纏めてまとめています。

    一の扉・・・エピグラフと献辞

    二の扉・・・英文学

    三の扉・・・スコットランド民族

    四の扉・・・ケルトと「アーサー王伝説」

    五の扉・・・キリスト教

    六の扉・・・プリンス・エドワーズ島の歴史

    七の扉・・・カナダの政治

    八の扉・・・翻訳とモンゴメリ学会

    この章題を見ただけでは、なんのことか分かりにくいですが、要するにこの8巻の大大河小説の背景を支配しているのはなにか。それは、アンをはじめ、この物語に出てくるマリラやマシューなどの主要人物は、歴史からみればケルト人の子孫だということです。ケルト人の主要部分スコットランド系の人々が、主役を務めるお話しで、それに関連してスコットランド系の人々の宗教、ケルトの昔物語「アーサー王伝説」、物語の主人公たちの宗教はキリスト教の何派に属しているか、主人公たちの話にでてくる会話にも英文学からの引用が多数あるが、それはどこに出てくるどんなセリフか。などなど、「赤毛のアン」を深読みした研究所です。

    日本では「赤毛のアン」というと児童文学に分類されることが多いのですが、全8巻を読んでみれば、アンの少女時代からはじまり、恋愛、結婚、子育て、カナダの政治、第一次世界大戦などを盛り込んだ大大河小説なることが分かります。

    特に、興味深いのは著者の全訳が世界の「モンゴメリー学会」で認められ、著者がそこで研究成果を発表するという栄誉に輝いたことです。

    この「松本侑子」さんという女性は、単なる「翻訳家」ではなく、文学の深い研究者であり、その合間にも自作の小説・評伝(金子みすずに関するものなど)を発表するなど、まさに八面六臂の大活躍をされています。

    本書を一読すれば彼女の凄さがわかるでしょう。

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  • 星5つ中5つ
    良かったです。
    2025年6月2日に日本でレビュー済み
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    赤毛のアンをより深く理解するのにとても役立ちました。

    2人のユーザーが役に立ったと感じています
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  • 星5つ中5つ
    あたらしい角度で名作を整理する
    2025年3月31日に日本でレビュー済み
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    整理の仕方が良い

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  • 星5つ中5つ
    赤毛のアン再考
    2025年2月13日に日本でレビュー済み
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    赤毛のアンは私にとっていつもそばにいる存在です^_^

    苦しいことや悲しいことがあってもアンの言葉は励ましと希望に満ちています。

    リラの巻については「ヨーロッパの国で皇太子が殺されたってなんの関係があるの?」とスーザンの言う言葉が心に残ります。

    今や世界中のどこで戦いが起きてもそれはすぐ人々に影響を及ぼしてきます。

    モンゴメリがアンの口を借りて語った数々の言葉は含蓄があり、人生の道標になります。

    又、改めて「虹の谷」以降のアンを読み直してみたいと思います^_^

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  • 星5つ中5つ
    移民は「いいこと?」
    2024年12月21日に日本でレビュー済み
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    「三の扉 スコットランド民族」のなかで、「カナダは、移民からなる多民族国家です。先住民が暮らしていた土地に、フランス、イギリス(スコットランド、イングランド、ウェールズ、北アイルランド)、アイルランド、ドイツ、イタリアなどから、移りすみ」とありましたが、このことは、ヨーロッパの人々が移民として、先住民が暮らしていた土地を開拓という美名のもとに奪いとり(侵略)、カナダという国を建国したことではないかということを考えました。

     現在、日本において、移民の受け入れについての議論がなされていますが、「アン」の舞台であるカナダの歴史的な成り立ちを見てみますと、移民を際限なく受け入れれば、日本でも、これまで培ってきた日本人の文化・価値観が損なわれ、全く別の国になってしまうのではないかということを考えました。

     モンゴメリーの文学のなかで、生き生きと息づいている「アン」をはじめとした人々の人生は、ヨーロッパから移住してきた先祖が、先住民の土地を奪いとり(侵略)、その土地に根づいた結果として成り立っているのではないかという感想を持ちました。

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  • 星5つ中3つ
    赤毛のアンに出会って
    2025年12月2日に日本でレビュー済み
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    赤毛のアン シリーズを楽しく読んでいけることがわかって

    嬉しいです!

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    『赤毛のアン』シリーズは児童書ではなかった
    2025年1月10日に日本でレビュー済み
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    私は老年男子であるが、ルーシー・モード・モンゴメリの『赤毛のアン』シリーズの熱烈なファンです。新潮文庫版の村岡花子訳「赤毛のアン・シリーズ」10巻を一気に読み終え、現在も、書斎の書棚から取り出しては気に入っている箇所を拾い読みしています。

    シリーズを俯瞰してみましょう。『赤毛のアン』のアンは、カナダのプリンス・エドワード島の美しい自然に恵まれた村で、マシュウとマリラの愛情に包まれ、友情を大切にしながら、学校生活を楽しみます。さまざまな失敗を重ねながら、魅力的な少女に成長していきます。続編の『アンの青春』では、少女から女性へと変身していくアンの多感な日々が展開されます。続く『アンの愛情』はアンの大学生活と恋がテーマです。次の『アンの幸福』ではアンの婚約時代が綴られ、アンは身近な女性から「『あたしはきょうはどんなうれしいことを発見するかしら?』――これがあなたの生活態度に思えるわ、アン」と羨ましがられます。さらに『アンの夢の家』ではアンの新婚生活が、『炉辺荘(イングルサイド)のアン』では6人の子育てに奮闘するアンが、『アンの娘リラ』では、第一次世界大戦で息子を失う母親アンの悲しみが描かれます。この他に、『アンの友達』、『アンをめぐる人々』、『虹の谷のアン』が含まれています。

    今回、手にした『赤毛のアン論――八つの扉』(松本侑子著、文春新書)には驚くべきことが書かれています。

    ●その1つは、『赤毛のアン』シリーズは児童書ではないという指摘です。

    モンゴメリの原書の「文体と語彙から、子どもむけに書かれていないことは一目瞭然です」と断言しています。

    著者・松本侑子の愛するアンとモンゴメリの研究は「初めて村岡花子訳『赤毛のアン』を読み、こんなに面白い小説が世の中にあったのかと昂奮の面持ちで目をあげ、明るい日ざしに光り輝く不思議なもやを見たあの14歳の秋の日に始まったのです」。

    「村岡花子訳は1950年代に求められる上質な翻訳」だが、村岡訳が抄訳であり、改変も多いことから、「凝った文章を書く小説家モンゴメリも正確な全文訳を望むだろうと思い」、『赤毛のアン』シリーズの日本初の全文訳(文春文庫版の全8巻)を完成させたと述べています。

    なお、「村岡花子訳『アン』で聖書由来の言葉が省かれている理由も、日本にはキリスト教徒が少ないため」だろうと、村岡に配慮を示しています。

    ●もう1つは、『赤毛のアン』シリーズはキリスト教文学だという指摘です。

    牧師夫人であるモンゴメリによって書かれたキリスト教文学だというのです。

    モンゴメリの夫ユーアン・マクドナルドが、1935年に精神的な病気のために牧師を引退したので、モンゴメリも牧師夫人の責務から解放されます。

    「モンゴメリは、幼いころより信心深い祖父母と長老派教会へ通い、結婚後は、牧師夫人として教会で働き、信仰生活を送りながら22冊の小説と1冊の詩集を発行し、約500件の短編を雑誌に発表しました。長老派教会の信仰とともに育ち、暮らし、祈り、書き続け、夢と希望に満ちた文学的な作品が多くの人々に愛された人生でした」。

    本書のおかげで、筆名がL・M・モンゴメリ、本名がルーシー・モード・モンゴメリだということを知ることができました。

    著者に聞きたいことが一つあります。モンゴメリの夫については、「自分が道徳や宗教の罪をおかしているために天国に行けないと悩む宗教的憂鬱について(モンゴメリの夫ユーアンは、この不安症から鬱病になり、医師にかかっていました)」と記していますね。一方、モンゴメリの死因は冠状動脈血栓症とされてきたが、真相は深刻な神経衰弱による服毒自殺だったことが2008年9月に公表された事実に触れていないのは、なぜでしょうか? 牧師のユーアンにとっても、牧師夫人のモンゴメリにとっても、キリスト教の信仰が魂の救いになり得なかったことは残念の極みです。

    『赤毛のアン』シリーズは児童書ではなかった
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    『赤毛のアン』シリーズは児童書ではなかった
    2025年1月10日に日本でレビュー済み

    私は老年男子であるが、ルーシー・モード・モンゴメリの『赤毛のアン』シリーズの熱烈なファンです。新潮文庫版の村岡花子訳「赤毛のアン・シリーズ」10巻を一気に読み終え、現在も、書斎の書棚から取り出しては気に入っている箇所を拾い読みしています。

    シリーズを俯瞰してみましょう。『赤毛のアン』のアンは、カナダのプリンス・エドワード島の美しい自然に恵まれた村で、マシュウとマリラの愛情に包まれ、友情を大切にしながら、学校生活を楽しみます。さまざまな失敗を重ねながら、魅力的な少女に成長していきます。続編の『アンの青春』では、少女から女性へと変身していくアンの多感な日々が展開されます。続く『アンの愛情』はアンの大学生活と恋がテーマです。次の『アンの幸福』ではアンの婚約時代が綴られ、アンは身近な女性から「『あたしはきょうはどんなうれしいことを発見するかしら?』――これがあなたの生活態度に思えるわ、アン」と羨ましがられます。さらに『アンの夢の家』ではアンの新婚生活が、『炉辺荘(イングルサイド)のアン』では6人の子育てに奮闘するアンが、『アンの娘リラ』では、第一次世界大戦で息子を失う母親アンの悲しみが描かれます。この他に、『アンの友達』、『アンをめぐる人々』、『虹の谷のアン』が含まれています。

    今回、手にした『赤毛のアン論――八つの扉』(松本侑子著、文春新書)には驚くべきことが書かれています。

    ●その1つは、『赤毛のアン』シリーズは児童書ではないという指摘です。

    モンゴメリの原書の「文体と語彙から、子どもむけに書かれていないことは一目瞭然です」と断言しています。

    著者・松本侑子の愛するアンとモンゴメリの研究は「初めて村岡花子訳『赤毛のアン』を読み、こんなに面白い小説が世の中にあったのかと昂奮の面持ちで目をあげ、明るい日ざしに光り輝く不思議なもやを見たあの14歳の秋の日に始まったのです」。

    「村岡花子訳は1950年代に求められる上質な翻訳」だが、村岡訳が抄訳であり、改変も多いことから、「凝った文章を書く小説家モンゴメリも正確な全文訳を望むだろうと思い」、『赤毛のアン』シリーズの日本初の全文訳(文春文庫版の全8巻)を完成させたと述べています。

    なお、「村岡花子訳『アン』で聖書由来の言葉が省かれている理由も、日本にはキリスト教徒が少ないため」だろうと、村岡に配慮を示しています。

    ●もう1つは、『赤毛のアン』シリーズはキリスト教文学だという指摘です。

    牧師夫人であるモンゴメリによって書かれたキリスト教文学だというのです。

    モンゴメリの夫ユーアン・マクドナルドが、1935年に精神的な病気のために牧師を引退したので、モンゴメリも牧師夫人の責務から解放されます。

    「モンゴメリは、幼いころより信心深い祖父母と長老派教会へ通い、結婚後は、牧師夫人として教会で働き、信仰生活を送りながら22冊の小説と1冊の詩集を発行し、約500件の短編を雑誌に発表しました。長老派教会の信仰とともに育ち、暮らし、祈り、書き続け、夢と希望に満ちた文学的な作品が多くの人々に愛された人生でした」。

    本書のおかげで、筆名がL・M・モンゴメリ、本名がルーシー・モード・モンゴメリだということを知ることができました。

    著者に聞きたいことが一つあります。モンゴメリの夫については、「自分が道徳や宗教の罪をおかしているために天国に行けないと悩む宗教的憂鬱について(モンゴメリの夫ユーアンは、この不安症から鬱病になり、医師にかかっていました)」と記していますね。一方、モンゴメリの死因は冠状動脈血栓症とされてきたが、真相は深刻な神経衰弱による服毒自殺だったことが2008年9月に公表された事実に触れていないのは、なぜでしょうか? 牧師のユーアンにとっても、牧師夫人のモンゴメリにとっても、キリスト教の信仰が魂の救いになり得なかったことは残念の極みです。

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