大好きなアニメをより楽しめるようになりました。
最近、アニメの見方が変わりました。
というのも、Studio VIBEというAIアニメスタジオに入って制作を進めているためです。
今までアニメは何作も見てきました。
いわゆる「俺TUEEE」系の転スラ・SAOといった王道アニメが大好きで、ストーリーを楽しむために休みの日はボーッと見続けてしまいます。
でも、AIアニメ制作に関わるようになってから、見るポイントが増えました。
ストーリーだけではなく、カメラの位置や動かし方をみるように。会話中に誰を正面から映して、誰を斜めから映しているのか。シーンの場所が変わるときに、建物の外観や空のカットが挟まれている。
作る側に少し回っただけで、いつも見ていたアニメの中に「こんなに設計が入っていたのか」と気づくようになりました。
AIアニメ制作を始めて気づいた「作る側に回ると、好きなものの解像度が上がる」という話をします。
アニメを、制作目線で見るようになった
最近、勉強のために(単純に気になっていた)『オーバーロード』を一気見しました。
勉強のために見ていたはずなのに、普通に夢中になっていました。これはもう仕方ないです。面白いので。。
ただ、前とは見方が違いました。
森の中を走る場面で、キャラクターだけを追い続けるのではなく、カメラが空を向いたまま木々の間を移動するようなカットが挟まれていました。
今までなら「森を移動しているんだな」で終わっていたと思います。
でも作る側の目線で見ると、あのカットはかなり大事です。人物の正面カットだけを続けると、画面が単調になります。そこで木々や空を入れることで、移動している感じ、空間の広さ、場面のリズムが出る。
場所が変わるときも同じです。
いきなり部屋の会話に入るのではなく、建物の外観や景色が挟まれる。視聴者の意識を一度切り替えてから、次の場面に連れていく。
これも、見ているだけのときは自然すぎて気づきませんでした。
会話シーンもそうです。
正面からキャラを映して、口を動かして、セリフを言わせる。それだけだと、かなり退屈になります。実際、AIで簡単に作るとここに陥りやすいです。
でもアニメでは、キャラクターの性格や場面の空気に応じて、正面、横顔、斜め後ろ、肩越し、引き、寄りが使い分けられています。
強いキャラを少し下から映す。迷っているキャラを斜め後ろから映す。会話相手の肩越しに、相手の表情を見せる。
今までは「なんか自然」と思っていたものが、制作目線になると「技術」に見えてきます。
音楽も、作ると聴き方が変わる
これは音楽でも少し似ていました。
私はロックが好きで、ライブやフェスにも行っていました。昔はボーカルのメロディやサビの気持ちよさを中心に聴いていました。
もちろんそれは今も楽しいです。
でも、自分で少し音楽を作るようになると、聴き方が変わりました。
ドラムがどこで抑えて、どこで前に出ているのか。ベースがギターとどう重なっているのか。サビ前に音数を減らして、サビで一気に広げているのか。
最初は全然わかりません。
それでも少しずつ、楽器ごとの役割が見えてくる。ライブで聴いていても、ドラムの入り方やギターの音作りに意識が向く瞬間が出てくる。
作る側に回ると、好きなものの解像度が上がります。
作り手の意識やこだわりが理解できるようになります。
作る側は失敗の連続
ここからが本題です。
AIアニメ制作は、見方が増えて楽しいです。
ただ、作る側に回ると普通に失敗します。地味な失敗の連続です。
最近、Studio VIBEで『ニンジャ犯科張』Episode9のシーン7を担当しています。
シーン7は、朝の和室で繰り広げられるギャグシーンです。アンネが寝ているところに結がやってきて、「新聞の一面に載ってるわよ」と伝える。アンネは「え!? なんで!?」と驚くところに、結が「指名手配犯として…」とからかう。アンネは「私何しちゃったの!?」と焦る。でも実際は…(本編をお楽しみに)
文章で書くとシンプルですし、シーンもイメージできます。
でも、これをアニメにするとなると一気に難しくなります。
朝日が入る角度やトーン。キャラのカットごとの背景の整合。寝起きの眠そうな顔。不安そうに呟く口。得意げな表情。
しかもAIで静止画・動画生成する際は、表情(特に目元)がかなり崩れやすいです。
気を抜くと「誰!?」という画像ができてしまう。。
今回はまず静止画を作りました。(Studio VIBEの方針として、初心者のキャッチアップとして静止画作成→動画化というフローが推奨)
1分のシーンに静止画を23枚。会話劇なので、カットを増やして単調さを誤魔化そうと、色々と考えながら、、10時間近くかかりました。
「ここまで作れば、だいたい形になるだろう」と思っていました。
結果、スタジオのボス・イケハヤさんレビューで大半を作り直していただく結果となりました。。(下段が作成したカット。上段にイケハヤさん作成の修正画像)
AIを使っているのに、10時間かけて、ほぼやり直し。
でも、振り返ると理由はかなりはっきりしています。
私は最初から独力で80%まで持っていこうとしていました。30%の段階、50%の段階で見せればよかったのに、自分の中で「もう少し整えてから見せよう。戦力になることをアピールしたい」と思ってしまった。
結果、画質が劣化していたり、作成したカットの構図がイケハヤさんの思っているようなレベルではなかった。
方向性がズレたまま作り込むと、作業量が増えれば増えるほど戻れなくなります。
仕事でもよくあるやつです。
資料を8割まで作りこんでから上司に見せたら、「そもそも論点が違う」と言われる。デザインをかなり作り込んでから見せたら、「そもそも内容が正しくない」と言われる。コードを書き切ってからレビューに出したら、「設計から変えたい」と言われる。
あの感じです。
AIアニメ制作でもまったく同じことが起きました。
なぜ10時間もかかったのか
一つ目の原因は、「いい絵」を作ろうとしすぎたことです。
1カットごとに、破綻していない画像、かわいい表情、見栄えのいい構図を狙っていました。特に時間がかかったのは光の入り方、角度、背景の整合です。
庭からの朝日が差し込んでいて、あんねと結のカットに差し込む光の角度を直すのに、かなりの時間を要しました。(レビューの結果、そこまで気にする必要はないとのこと。。)
アニメの1カットは単体のイラストではありません。前後の流れの中で機能する必要があります。
1カット1カットを厳密に合わせるよりも、流れが、ストーリーがわかるようなカットを作成することのほうが大事でした。
二つ目の原因は、既存カットとの統一感を後回しにしたことです。
AI画像はツールや生成条件によって、線の太さ、彩度、影の濃さ、肌色、光の入り方が変わります。
今回も、構図ラフとしては使える画像が出ても、本番カットとして並べると浮くものがありました。線が細い。色が鮮やかすぎる。輪郭がきれいすぎる。朝の和室の柔らかい光と合っていない。
作っている最中は「この1枚、けっこう良い」と思ってしまいます。
でも、並べると違和感が出る。
アニメは連続して見られるので、1枚だけ良くてもダメです。むしろ全体のトーンに馴染んでいる方が大事です。
三つ目の原因は、静止画作成のフローを理解できていなかったことです。
今回の一番の学びは、静止画を作成した後にその出力を参照させて「ここ直して」という修正方法をすると、画質が劣化してしまうということです。
静止画作成時、背景や光の入り方、構図を理想に近づけるために、ほぼ全てのカットでこの手法を使ってしまっていました。
荒れている画像を参照に入れると、出力された画像にもノイズが乗る。
ここを知らずに10時間作成し続けていても、高品質の成果物は出てきません。
このあたりを知らずに、私は間違った方針で頑張って時間を浪費してしまっていました。
完成まで独力で作らない
今回の一番大きな反省はこれです。
私はどこかで、「人に見せるなら、ある程度ちゃんとした状態にしないと」と思っていました。
でも、チームでの制作では逆でした。
作りきる前に見せた方がいい。
特に自分より経験値のある人に見てもらえる環境があるなら、早めに見せた方がいいです。
30%の段階で見せる。構図だけで見せる。主要カット3枚だけで見せる。全体のトーンだけ確認する。
その時点で「この方向で大丈夫」とわかれば、その後の作業は安心して進められます。逆にズレていたら、まだ戻れます。
今回の私は、戻るのが遅かった。
23枚作ってから「作り方が違う」とわかると、精神的にも重いです。時給をいただいている立場なのに、時間効率が悪くなってしまう。
タイミングの遅い確認→修正は高くつきます。
AIを使えば作業自体は速くなります。でも、判断がズレたまま速く進むと、速く遠回りします。
好きなものは、作るともっと面白くなる
10時間かけた静止画がほぼ作り直しになったのは、普通に痛かったです。
でも、悪いことだけではありませんでした。
この失敗があったから、アニメを見る目が変わりました。
キャラクターが話しているとき、なぜこの角度なのか。なぜここで景色を挟むのか。なぜ今、少しだけ引きの絵にしたのか。
そういうところを見るようになりました。
以前なら流していた部分です。
アニメを見る時間が、ただの娯楽ではなく、少しだけ勉強にもなりました。もちろん普通に楽しんでしまうので、勉強になっている割合は毎回怪しいです。
でも、それでいいと思っています。
作る側に回ると、失敗します。思ったよりできない自分を見ます。10時間使って、やり直しになることもあります。
その代わり、好きなものの中にある技術が見えるようになります。
音楽を作ると、ライブで聴くロックのドラムやベースが少し違って聴こえる。アニメを作ると、アニメの何気ない場面転換や会話カットが違って見える。
消費する楽しさに、観察する楽しさが足される。
AIアニメ制作を始めて、まだ全然うまくいかないことだらけです。
それでも、作る側に回ったことで、アニメが前より面白くなりました。
ぜひ、あなたも作る側に回ってみてください。
私はAIアニメの教科書を購入してから、2週間でスタジオに加入できました。
作る側に回ると、楽しむ観点が増えていきます。
「知見を広げる」ために、作ることに挑戦することは人生においても良い影響になるなと、心から思いました。
私はゲームが大好きなので、6月以降はゲーム作成にも挑戦していきます。他にも色々なことに挑戦して、経験を積んでいきます。







