
ライターにとってインタビューの文字起こしは悩ましい問題でした。1時間のインタビューなら、自分でちゃんと起こそうとすると2~3時間かかってしまうし、業者などに頼むとコスト的に厳しい(大手の出版社の仕事だと編集部で起こしてくれたりするんですが、エロ本だと原稿料も安く、外注に出すと赤字になってしまうので……)し、時間もかかる。
そのため、自動起こしサービスはずいぶん前から色々試してきました。でも、なかなか実用に値するサービスって無かったんですよね。特に僕の仕事だと、AV女優などのインタビューが多く、業界用語は多いわ、くだけた口調の会話だわ、なかなか的確に文字起こししてもらうのは難しい。
2022年からしばらくはVOITER miniを使ってましたね。カセットテープのミニチュアという形態のレコーダーが可愛くて愛用してたんですが、起こしの精度には、やはり不満が残りました。

でも、ここ数年はAIの進化により文字起こしサービスの性能は飛躍的に上がったんですよ。2023年に購入したGoogleのスマホ、Pixel 7aに標準で装備されている「レコーダー」など、リアルタイムでどんどんテキスト化してくれるし、かなり正確になってました。録音やテキスト化したデータをWEBからも利用できるのも便利でした。
お、これは結構実用になるぞ、と思いましたね。
さらに2025年からは、Pixel 7aのレコーダーで録音した音声データをGeminiやNotebookLMに突っ込んでテキスト化、さらにはまとめもやってもらうというスタイルに移行。
これはかなりよいんじゃないですか? というレベルになり、ようやくインタビュー文字起こし問題は解決した、かに思えました。
しかし使ってるうちに、「できるだけ正確に会話をテキスト化して下さい」と頼んでるのに、勝手に省略してまとめちゃったり、口調を丁寧に変えちゃったり、エラーが頻発したりするようになりました。どうも、性的な内容なのが引っかかってるみたいなんですよね……。
大手のAIサービスは性的な内容に関しての規制が厳しく、その許容の基準がコロコロ変わるんですよ。
仕事で使うのには、その不安定さはちょっと困る。しかし、もう自分で一から文字起こしする元気はない。人間、一度楽を知ってしまうと、もう戻れない。
そんな時、専用のAIボイスレコーダーの使い勝手がなかなかいい、という話を聞きました。調べてみると、なかなか良さそう。でも、価格は2~3万円と結構高い。それなら有料のオンライン文字起こしサービスを使う手もあるなぁ、などと悩んでたんです。色々試してみるとTurboscribeとか、なかなかいい感じでしたし。
ま、ちょっと実物を見てみるか、とビックカメラに行ってみたんですよ。売り場には何種類ものAIボイスレコーダーが並んでいて、そのコンパクトさには驚かされました。
中でもPlaud Note Proの薄さ、小ささ。なにしろクレジットカードを3枚重ねたくらいなんですよ。記事や動画では見ていたけど、実物を見るとその薄さには度肝を抜かれましたね。これなら、本当に財布にも入っちゃうな。
このサイズの他機種もあるんですが、デザインや質感はPlaud Note Proがダントツ。ブツとしての魅力が強力なんですよ。
気がついたら購入してました。3万円弱と決して安い買い物ではないけれど、思わず衝動買い。
しかし、あんまりコンパクトなんで、どう持ち歩くかは悩みましたね。カード類と一緒に財布に入れちゃってもいいけど、なんか不安だし、インタビューの時に財布から取り出すのって、なんか怪しい(笑)。
かといって付属のケースはどうにも野暮ったくて、コンパクトさの魅力を削いじゃうだけという感じ。
そこで思いついたのが、15年くらい愛用している「薄いメモ帳」(abrAsus)。
rioysd.hateblo.jp
これの表のポケットに、Plaud Note Proが入っちゃうんですよ。本来はカード入れなんですけど、カードサイズだから。
これでこの「薄いメモ帳」は、手書きのメモであり、録音するAIメモでもあるという最強のメモ帳になったわけです。この組み合わせ、最強じゃないですか?

さて、Plaud Note Proを使い初めて一ヶ月ほど。今のところは大変満足しています。
本体にはボタンがひとつと小さなディスプレイがあるだけ。ボタンを押すとバッテリー残量が表示され、長押しすると録音スタート。もう一度長押しで録音終了。実にシンプル。電源は自動オフのみで、自分で切ることはできません
録音されているかどうかの確認は小さなランプの点灯だけというのは、会話が画面でどんどん文字起こしされていったPixel 7aのレコーダーに慣れた身としては、ちょっと不安なんですが(なので、予備としてPixel 7aのレコーダーでも同時に録音してる)、今のところ失敗はないですね
では、実際の「起こし」を見てみましょうか。これは先日、某AV女優さんにインタビューしたものの一部です。原稿には使用しなかった部分ですね。
まず、実際に音声を聞いてみて、僕が忠実に起こしたもの。
「で、なんか結構それで、恋愛をすることに疲れてしまって」
「あー」
「で、恋愛したくない、恋愛とかじゃないけど、なんか、その、何ていうか、男遊びはしたいみたいな」
「えー、どんな遊びですか、それは」
「いや、なんて言うかな。マッチングアプリで」
「うん」
「ま、変な人が多いけど」
「うん、変じゃない人もいるぞ、と」
「いや」
「変な人でもいい?」
「そう、なんか、自分が付き合いたいマインドじゃなかったから」
「なるほど」
「ま、言っちゃえばワンナイトとか」
「うん」
「で、遊んでみたいなー」
「それは何ですか、こう、セックスがしたいみたいな感じなんですか?」
「て、いうよりかは多分寂しかった」
「寂しかった、なるほど一晩楽しく過ごしたい、みたいな感じで」
「うん。で、遊んでた時期はありました」
それではPixelのレコーダーの起こし。
で。なんか結構それで。恋愛をすることに疲れてしまってあで。恋愛はしたくん恋愛とかじゃないけどうん?なんかその何て言うの男遊びはしたいみたいなえ。何どんな遊びですか? それはいやなんて言ったらマッチングアプリでうん? ま変な人が多いけど、うん変じゃない人もいるぞ。といや変な人でもいいやん。
そうなんか。自分が付き合いたいマインドじゃなかったからなるほどま言っちゃえばワンナイトとかうんで遊んみたいな。それは何ですか? こうセックスがしたいみたいな感じなんですか? っていうよ。りかは多分寂しかった。なるほど、なんか?
一晩楽しく過ごしたいみたいな感じでああで。遊んでた時はありました。
大意はなんとなくわかるけど、かなりゴチャッとしちゃってますね。発言者で分けられてもいなくて読みにくい。
ではPlaud Note Proの起こし。
Speaker 2
で、結構それで恋愛をすることに疲れてしまって。恋愛はしたくない。恋愛とかじゃないけど、男遊びはしたいみたいな。
Speaker 1
何どんな遊びですかそれは。
Speaker 2
いや、なんて言ったらマッチングアプリで。変な人が多いけど。
Speaker 1
変じゃない人もいるぞと。
Speaker 2
いや、変な人でもいいや。
Speaker 1
別に自分が付き合いたいマインドじゃなかったから。言っちゃえばワンナイトとかで遊びたいなみたいな。それはセックスがしたいみたいな感じなんですか。
Speaker 2
っていうよりかは、多分寂しかったかな。
Speaker 1
一晩楽しく過ごしたいみたいな感じで。
Speaker 2
ああで遊んでた時はありました。
一部、発言者が入れ替わっちゃってるところがありますが、かなり正確だと言っていいでしょう。
あと(※皮肉の可能性あり、原文ママ)みたいに、注釈いれてくれたりもするのも面白い。
ちなみにNotebookLMだと「この会話をできるだけ正確にText化してください」と言っておいても
それで恋愛することに疲れてしまって、恋愛じゃなくて一晩楽しく過ごしたいみたいなお得遊びをしていた時がありました
と、ざっくりとまとめられてしまいます。まぁ、原稿にする時はこんな感じになるんですが、やはり勝手にまとめて欲しくないなぁ、ライター的には。「お得遊び」になってるし(笑)。
そしてPlaud Note Proは「要約」もしてくれて、こんなダラダラした会話でも、キチンと内容と文脈を読み取ってまとめてくれるのはすごいですね。要約があると、構成をしやすくなるので、かなりありがたいです。
Plaud Note ProもAIモデル自体はGPTやらClaudeやらGeminiやらを使ってるらしいので、性的表現の規制は同じはずなんですが、こっちの方がわりとユルい気がします。
今のところ僕は、このPlaud Note Proの起こしを見ながら、自分で書き直して原稿にしていき、ところどころ音源を聞き直して(音声はPixelの方が綺麗に録音できるので、そっちを聞きます)確認、というスタイルです。さすがにAIの文字起こしをそのままコピペは抵抗があってできません。
Plaud Note Proは月300分の文字起こしが無料で、それ以上は有料(月1,200分で年額16,800円、無制限で年額40,000円)となるのですが、僕の現状だと月300分でなんとかなりそう。
それからPlaud Note Proを購入する時に、ちょっとネックかなと思ったのが充電ケーブルの端子が独自規格という点だったんですよ。TALIX A1なんかだとUSB-Cなので流用が可能なのに、専用充電ケーブルを持ち歩かなくては行けないのかなと。
でも実際は一ヶ月使ってもバッテリーは30%以上残っていたので、そんなに頻繁に充電する必要はなさそう。それほどの問題ではありませんでしたね。
というわけで、値段さえ目をつぶれば、おすすめです、Plaud Note Pro。ようやくライターの仕事にも実用的なレベルに達したなと思います。
何よりも、ブツとしての魅力があるのが大きい。やっぱりガジェットはそこがポイントですよね。
……とか言いつつも1~2年経てば、もっといいのが出て、乗り換えちゃうんだろうなぁ。












